まごころ介護のお役立ちコラム

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円満な相続に向けてするべき手続きとは?

遺言書
相続とは人の死によってその人の財産や権利、義務が特定の人に引き継がれることをいいます。死亡した人のことを「被相続人」、財産などを引き継ぐ人のことを「相続人」といい、相続が開始すると、被相続人に関する様々な手続きや届け出をしなければなりません。不安や焦りを抱いたまま相続発生の日を迎えてしまえば、悲しむ間もなく遺言書の確認、遺産分割協議、相続税の申告、不動産の名義変更などそれまで経験したことがない作業に追われながら「前もって準備しておけばよかった」と後悔することになるかもしれません。ここでは、相続が発生したらすべき主な手続きに関してご案内します。

相続税の申告・納税期限

相続の開始があったことを知った日の翌日から相続税の申告及び納付までの期限は10 カ月です。相続税は原則現金納付なので、不足する場合は延納や物納など猶予の手続きや売却などの検討も必要ですので、早めの準備が重要です。
※確定申告をされていた方は、4か月以内に準確定申告の申告及び納付が必要となります。

相続手続きの基本の流れ

市区町村への死亡届

被相続人の死亡届は下記いずれかに死亡日から7日以内に提出となっています。(この場合は死亡日を含みます。)
・被相続人の本籍地、死亡地、届出人の所在地

遺言書の有無の確認、遺言執行者選任の申立て

遺言書がある場合、遺言執行者を確認します。「遺言執行者」とは遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。遺言の執行時に遺言執行者が必要な場合と必要でない場合があります。次の場合は必ず遺言執行者の選任あるいは指定が必要です。

● 遺言で子の認知がされた場合
● 遺言で推定相続人の廃除がされた場合
● 遺言で推定相続人の廃除の取り消しがされた場合
● 不動産の遺贈を受けたが、そもそも相続人がいない場合、または相続人が所有権移転登記に協力しない場合

遺言執行者がいない場合は、相続人や受遺者が遺言の内容を実現させるための手続きを行うことになります。上記以外、遺言書がない場合などでは遺言執行者は必要ありません。

相続人の確定

相続人を確認するには被相続人や相続人の本籍地となる市区町村役場で戸籍を収集し調べます。

【法定相続人の範囲と順位】

● 配偶者
常に相続人になります。

● 第一順位(直系卑属)
子ども・孫(※孫は子どもがすでに他界している場合に第一順位となります。) 

● 第二順位(直系尊属)
父・母、祖母・祖父(※祖父・祖母は父・母が先に他界している場合に第二順位となります。)

● 第三順位
兄弟・姉妹、甥・姪(※甥・姪は兄弟・姉妹がすでに他界している場合に第三順位となります。)

法定相続人には様々なケースがあります。相続人の人数によって法定相続の割合と金額は違ってきます。相続トラブルを避けるためにも、早めに専門家に相談しながら準備していきましょう。

相続財産の調査

相続の申告・納税は10カ月以内に行わなければなりません。もし、納税が遅れると「延滞税」、誤って少なく申告し税務調査により修正申告を行った場合は「過少申告加算税」、申告し忘れ、税務調査により提出した場合は「無申告加算税」、申告書を提出したが故意に財産を隠した場合「重加算税」がそれぞれかかります。相続をする可能性のある財産は不動産、動産、債務などがあります。

● 不動産
土地、建物、借地権、借家権

● 動産
自動車、骨董品、貴金属、家財道具など

● 債権
銀行の預貯金、株式、債務など

遺産分割協議

相続人が複数の場合、誰がどの遺産を相続するのか決定しなければなりません。そこで、相続人全員が集まり、遺産分割協議を行います。その内容を書面にしたものを「遺産分割協議書」といいます。遺産分割協議書は、不動産等の名義変更などにも必要となります。

遺言により遺産の相続人や受遺者が指定されていれば、その内容のとおり遺産が相続されるので、遺産分割協議をする必要はありません。ただ、遺産の一部についての遺言書であった場合は、残りの遺産については、遺産分割協議が必要で、遺産分割協議書を作成する必要があります。

特別代理人選任の申立て(相続人が未成年の場合)

未成年者が財産に関する法律行為を行う場合、原則的に親権者が未成年者の法定代理人として法律行為を行います。しかし、未成年者と親権者との間で利害が対立する場合(利益相反行為)には親権者が法定代理人として手続きを行うことはできません。その場合、未成年者のために特別代理人を付ける必要があり、特別代理人が未成年者を代理して手続きを行います。特別代理人の必要性については、認知症等判断能力がなくなった成年被後見人と成年後見人の間で利益相反行為がある場合も特別代理人の選任が必要です。

※特別代理人の候補者は祖父母やおじさん、おばさんになることが一般的です。

単純・限定承認/相続放棄の手続き(3 カ月以内)

相続には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの方法があります。

● 単純承認
プラスの財産もマイナスの財産も全財産を無条件に引き継ぐこと

● 限定承認
相続を受けた人がプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法で家庭裁判所に申請します。

● 相続放棄
プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないという方法で家庭裁判所に申請します。

相続放棄をする場合には、相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に被相続人の住所地の家庭裁判所に申告しなければなりません。
相続放棄の手続きまでの期間が短いため、早急に被相続人の財産を調査し家庭裁判所の手続きをしなければ放棄できなくなり、全財産を無条件に引き継ぐ単純承認となってしまいます。なお、『相続の開始から3カ月以内』ではなく、『相続の開始があったことを知った日から3カ月以内』ですので、相続開始から3カ月以上経過していても、相続放棄ができる場合もあります。

遺産の名義変更手続き

● 金融機関の相続手続き
銀行や農協などの金融機関では、預貯金口座の名義人が死亡すると、被相続人名義の預貯金すべての取引を停止させますので、被相続人名義の預貯金等を引き出すことができなくなります。したがって、預貯金や債券などの承継者を決定し、すみやかに相続手続きを行う必要があります。預貯金については、口座の名義を変更するか、解約して払戻しを受けるかのどちらかを決定することになります。手続きとしては、金融機関によって異なりますが、基本的には、所定の相続届に、相続人全員の署名と実印による押印をすることが求められます。

● 株式の相続手続きについて
相続発生により、株式を取得することになった場合には、名義書換の手続きが必要です。名義書換をしないままだと、配当金の受け取りなど、株主としての権利を行使することができません。手続きは、発行元の会社が指定する株主名簿管理人(信託銀行など)の窓口で行います。所定の株式名義書換請求書に、株券、被相続人の戸籍謄本などを添えて提出します。なお、株券を証券会社に預けている場合には、その証券会社を通じて手続きを行うことになります。

● 自動車の相続手続きについて
動産のほとんどは現物の引き渡しを受ければ完了しますが、自動車については登録変更の手続きが必要です。乗り続ける場合はもちろん、譲渡や廃車にするつもりでも、相続による名義変更を管轄の運輸支局などで済ませなければなりません。なお、故人が自動車保険の契約者や記名被保者になっていた場合は、すみやかに保険会社に連絡する必要があります。

その他、生命保険や死亡退職金などの受取りが必要な手続きなど、遺族がしなければならない手続きがあります。

不動産の名義変更

被相続人が不動産を所有していた場合、不動産の名義を被相続人から相続人へ書き換える手続きを行います。遺産分割協議書において、その不動産を誰が取得するか合意しておく必要があります。不動産は時効取得が可能となっているため、一定期間の間、他人に占有されていると、他人の財産となってしまうことがあります。自分の土地であってもトラブルや事件に巻き込まれるケースもありますので、相続不動産の名義変更は速やかに行う必要があります。

さいごに

今回は相続の手続きについてご紹介しました。
相続は故人を悲しむ間もなく様々な手続きをしなければならない場合があります。経験したことがない作業に追われながら「前もって準備しておけばよかった」と後悔することになるかもしれません。「親族間の仲は良好だから、揉めることはない」と考え、対策をせずにドロ沼の相続問題に繋がることは少なくありません。いくら仲の良い家族でも、相続がきっかけで不仲になることはよくあります。遺されたご家族のために円満な相続ができるよう、相続の準備をされてはいかがでしょうか。なお、相続については専門家に早めに相談されることをオススメします。

監修

川原田慶太司法書士

川原田慶太 司法書士

1976年生、京大法卒。東京・大阪を中心に、シニア向けに成年後見や家族信託、遺言などの法務を軸とした財産管理業務専門チームを結成。現在、延べ1000名の方々との財産管理顧問として業務を展開。
日本経済新聞電子版にて「司法書士が見た相続トラブル百科」を長期連載他、TV(情報ライブ「ミヤネ屋」、グッドモーニングなど)出演。金融機関を中心に相続セミナー講師を多数歴任し、著書に『司法書士は見た実録相続トラブル』(日経出版)がある。

司法書士法人ゆずりは後見センター(https://yuzuriha-kouken.jp/)

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

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