まごころ介護のお役立ちコラム

MAGOCORO COLUMN

より安心な親御さんの通院を目指して~親御さんの病院付き添いをうまくやりくりする方法とは?

通院する女性たち シニア世代になると、病気のリスクが増え、高血圧や体の痛みなどで定期的に通院することがあるでしょう。しかし、ひとりで病院へ行くことはできても、診察室内のやり取りがスムーズにできなかったり、医師や看護師そして薬剤師の言っていることが聞き取れず、理解できないままやり過ごすなど困ったことになる場合もあります。一方で、子世代は仕事や家庭の都合により思うように通院に付き添うことが難しいこともあるでしょう。そこで今回は「家族の出番だ」と言われがちな親御さんの病院受診の付き添いを、うまくやりくりするコツや、親御さんにとってもご家族にとっても安心できる通院の付き添い方法についてご紹介します。

付き添いに同行した方の意見

通院付き添いが必要になるタイミングやケースはさまざまですが、ひとつの事例をご紹介します。

母は1年ほど前から、常に足のどこかを痛がるようになり、市内の総合病院の整形外科を月に1回は通院しています。 母からは、変形性膝関節症の進行具合を診てもらっていると聞いていました。 でもそれは、通院当初の話です。 今回はじめて母の通院に同行したことによって、変形性膝関節症の他にも、脊柱管狭窄症や骨粗しょう症と診断されていたことを、医師から聞かされて知りました。 母は、私に伝えたと言っていますが、実際に聞いた記憶はありません。 その病気にかかわる薬も服用していましたが、私も処方箋まで読んで確認はしていませんでした。 今回のことでは、大きな問題にまではなっていないのでホッとしていますが、やはり、通院には、時々同行して、医師からの話を直接聞くことが大切だと実感しました。

通院付き添いにより安心すること

  • 親御さんの心身の状態がしっかり確認できます。

  • 老化は治すというより、うまく付き合っていくものです。正しく健康状態を判断するためにもかかりつけ医のお話を聞くことが大切です。

  • 普段、家族では気付かない身体の不調を知ることができます。

  • かかりつけ医と顔見知りになることで、万一のときに互いの信頼感が違います

  • 親御さんの心の中では、子からの心づかいを嬉しく感じています。

  • 処方されている薬のことがよくわかります。

親御さんひとりでの通院で心配なこと

移動手段の心配

通院については、徒歩で行く場合の転倒のリスクや、ご自身で運転される車、バイク、自転車で通院する高齢者の交通事故が心配されます。また、公共交通機関を利用しての通院の際でも、身体に不自由がある中で利用するとなると、困難な場合もあります。

診察内容を理解していない

医師・看護師が言っている事を理解していない、または取り違えて理解している。さらには、「自分はそんな病気や病状ではない」と受け入れない場合があります。

薬の服用の仕方を理解できていない

どの薬をいつ飲むのか等、理解できていない場合や勝手に服用を止めてしまう、またその逆の過剰摂取してしまうなど困ったことになる場合があります。

子世代の目線でみた通院付き添いの困難なこと

仕事を頻繁に休めず、通院に付き添う予定調整が難しい

月2回、3回と高い頻度での通院付き添いが必要な場合、自己都合で頻繁に会社を休むことが難しい人も多いのではないでしょうか。また、そもそも家族の通院付き添いが理由で休暇を取るということに対して、会社から理解を得られないという方もいらっしゃいます。

通院が遠方のため、1日がかりになってしまう

病院が遠方による移動時間や、待ち時間が長かったり、複数診療科にかかっている場合は、1日かけて病院付き添いをすることも珍しくありません。

まわりの家族を頼れずに自分ひとりで抱え込んでしまう

自分の家族だからと、ついひとりで介護の負担を抱え込んでいないでしょうか。仕事や育児に加えて介護も重なれば、自分自身が心身ともに疲れ切ってしまう方もいらっしゃいます。

遠方に住んでいるために頻繁に帰れない

遠距離介護の場合は、通院に付き添いたくてもまとまったお休みが取れなかったり、交通費・滞在費の負担がかかるために頻繁に帰ることができない、という状況もあるでしょう。

通院付き添いをやりくりするコツ

地方自治体の助成(電車・バス・タクシーなど)を利用する

移動手段が心配されることが多い通院ですが、高齢者が利用しやすいサービスを導入している地方自治体「公共交通機関利用促進施策」があります。 ※自治体により、サービス内容が異なるため、お住いの自治体にご確認ください。 大阪府堺市(おでかけ応援制度) 満65歳以上の堺市民の方が「おでかけ応援カード」を使うことで、市内の路線バス(南海バス、南海ウイングバス金岡、近鉄バス)や阪堺電車を1乗車100円(年間240日まで)でご利用できます。 佐賀県鳥栖市(高齢者福祉乗車券) 高齢者や運転免許を自主返納した方に対して、路線バス(市内のバス停で乗車又は下車するもの)で利用可能な乗車券を割安(5,000円分の乗車券を1,500円)で販売。 【対象者】 鳥栖市内の75歳以上の方又は70歳以上74歳以下で運転免許証を自主返納した方 山口県山口市(乗合タクシー) ・山口市内の交通不便地域での高齢者等の交通弱者の移動手段を確保するため、地区中心区や基幹交通(鉄道・路線バス)までを運行する定時定路線型の乗合タクシーを導入しました。 ・地区ごと(7地区)に地域が主体となって、ニーズや需要に基づいた運行計画を作成することで、効率的で機動性の高い持続可能な移動手段を実現しました。 大阪府河内長野市 ・急な坂道が多く、道が細くバスが通れない地域(楠ヶ丘地区)において高齢者等の足として定時定路線型の乗合タクシーを導入(同地区と生活に不可欠な買い物・通院等の施設が集中する駅前との間を巡回) ・事業者、地域住民、市が一体となり、ルート、停留所位置等の選定を共同で実施。

ヘルパーを頼る(介護保険の通院介助を使う)

介護保険を利用する場合、介護度によって得られるサービスは変わってきます。一般的には、『決まった曜日、一時間以内に帰ってこれる通院』であれば、介護保険により、ヘルパーに通院介助(病院の外来受付まで)をお願いすることは可能です。

家族全体で付き添いを考える

自分ひとりで抱え込み潰れてしまわないためにも、介護の支援体制についてご家族と相談しておくことが必要です。さまざまなケースに対応できるように、要介護者の状態について頻繁に情報を共有し、家族全員が、他人事だと思わない環境づくりを行うことが大切です。また、長期間の通院付き添いになった場合、回数が重なってくると、交通費等ももちろん重荷になってきます。後に、お金に関して揉める原因ともなるので、通院の際に必要な費用面に関しても家族間で話し合っておくと安心です。

介護保険外サービスを使う(自費サービス)

介護度により、介護保険からは外されてしまう介護サービスをお金を支払って対応してもらうサービスです。うまく取り入れることにより、親御さん・ご家族にとってスムーズな通院や介護に繋がる場合があります。

訪問医療の選択肢もある

医師が患者さんの自宅などに出向いて行う診療の中で「往診」や「訪問診療」があります。 医師が、診療上必要があると判断したとき、予定外に患者さんの自宅などに赴いて行なう診療が「往診」です。これに対して、在宅医療を行なう患者さんで、疾病や傷病のため通院が困難な方に対し、医師が、あらかじめ診療の計画を立て、患者さんの同意を得て定期的に(たとえば1週間に1回あるいは2週間に1回など)患者さんの自宅などに赴いて行なう診療が「訪問診療」です。通院するのが困難な方の場合は訪問医療を検討されてみてはいかがでしょうか。

お元気なうちからしておくと安心なこと

まだ、ご自身で通院できる元気な親御さんに対して、これからの通院方法や介護についての話をするのは気が引けるかもしれません。しかし、親御さんの介護は突然に始まってしまう場合が多いです。日頃から親子間、家族間でコミュニケーションをとり事前に準備できることをまとめておくと安心です。また、親御さんがお元気なうちから病気の治療方針や介護についての考え方・経済的な状況は、早めに把握しておきましょう。

さいごに

今回は親御さんの通院付き添いについてご紹介しました。 仕事も頻繁に休めない、遠方で時間がつくれない、付き添いたいけど、付き添いが難しいとお困りの方も多くいらっしゃると思います。一人で抱えすぎずに、活用できるサービスや機関そしてサポート支援を利用しながら、仕事と介護を両立できるように体制を整えるようにしてみてはいかがでしょうか。親御さんにとっても、ご家族にとっても無理のない範囲で付き添いをすることにより、お互いにいい関係が保てることに繋がります。 また、具体的な解決策が知りたいときは、地域包括支援センターや担当のケアマネジャー、自治体の介護保険を担当する窓口などで相談してみてください。

監修

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。 また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。 相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

関連記事

店舗紹介 施設を探す 動画コラム
新着情報
人気コラム記事
動画コラム
カテゴリ
キーワード
コラム一覧
LINE
TOP
0120-469-448
LINEで相談