まごころ介護のお役立ちコラム
MAGOCORO COLUMN
~全国のケアマネへカスハラについてのアンケートを実施~
超高齢社会の日本において、在宅介護を支えるケアマネジャーは、キーパーソンと言っても過言ではありません。しかし、ご経験のとおり、業務は複雑化・多忙化の一途をたどっています。
さらに、近年では顧客からの過剰な要求や不当な言いがかりをつける「カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)」が社会問題となり、ケアマネがハラスメントに遭遇するケースが増加しています。
今回は、(一社)日本介護支援専門員協会が行った「やりがい」「カスハラ」に関するアンケート調査を紹介します。
目次
(一社)日本介護支援専門員協会(東京都千代田区)は、ケアマネのカスハラの現状を調査するとともに、仕事のやりがいについて考察するため、「居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員の“やりがい”と“カスタマーハラスメント”に関する実態調査報告書」を2025年4月1日に発表しました。
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やりがいに影響するとして割合が多かった項目は、「給与や福利厚生等の安心して生活できる労働条件」「利用者の在宅生活が継続できている等のケアマネジメントの成果が実感できること」「仕事と私生活の両立」の順となりました。
その他の回答結果はコチラをご確認ください。
今後もケアマネを続けたいかの問いでは、「続けたい」「どちらかといえば続けたい」と答えた割合は61.5%でした。一方で「どちらかといえば辞めたい」「辞めたい」と答えた割合は17.3%と、ケアマネを続けたいと考えている方が多いことが分かりました。
ケアマネを続けたい理由 ◎利用者から必要とされている仕事だから
◎仕事に達成感や充実感を得られるから
◎資格や知識、スキルが活かせるから
ケアマネを辞めたい理由 ◎業務負担が過度だから
◎法定研修を受講するための負担が重いから
◎収入に満足できないから
この問いについて、やりがいの高さや専門性が続けたい理由となっていることがうかがえます。
一方で、辞めたい理由の最多は「業務負担が過度だから」でした。他の理由からも、業務の重さや制度的な負担、処遇への不満を感じる結果となりました。
その他のポジティブな回答
●自分自身が社会と繋がっていたいから
●利用者さんやご家族さんの伴走者として、良い時、悪い時も経て長く関わることが出来る仕事は他にはないのではないかと思うから
●地域の職能団体として業務改善に取り組みたいから
その他のネガティブな回答
●あまり転職したくないから
●後任がいない為、仕事を続けなければならないから
●法定研修はもう受けたくないから
過去1年間にカスタマーハラスメントを受けたかという問いに対しては、「ない」が55.6%と、半数以上のケアマネジャーがハラスメントを経験していないことが分かりました。
誰からカスタマーハラスメントを受けましたかという問いに対して、最も多かったのは「利用者の主介護者やキーパーソン」で44.8%、次いで「利用者本人」が27.6%でした。
カスハラを受けた際の対応としては、管理者・上司への報告や相談、同僚や地域包括支援センターへの相談が多く見られ、「解決までは至らなかったが改善した」が最も多い結果となりました。
ケアマネがカスハラを受けやすい理由としては「主な相談場所が利用者の自宅であるため、利用者やその家族が主導権を握っていたり、立場が上と感じたりしやすい 」という項目が最も多い回答でした。
ケアマネへのカスハラに関するエピソード
●家族が権力や立場を振りかざし、介護保険の法令遵守にそぐわない要求をしてきた
●カスハラに当たると思われる小さな出来事は多々あるが、地域包括との連携により解決しており、1人で抱え込まないようにしている
日本介護支援専門員協会は、今回の調査結果を以下のようにまとめています。
―引用元・参照WEBサイト
一般社団法人日本介護支援専門員協会|居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員の“やりがい”と“カスタマーハラスメント”に関する実態調査報告書
同協会は今回の調査結果について、「ケアマネが働き続けられる環境を整えるには、これからの制度や支援のあり方が鍵を握っている」とまとめています。
私たち一人ひとりにできることは小さくても、まずはこの報告書を事業所内や社内で共有し、他事業所の現状を知ることが、次の一歩につながるのではないでしょうか。
監修
公開日:2025年5月1日 更新日:2025年5月8日
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