まごころ介護のお役立ちコラム
MAGOCORO COLUMN
晩夏から秋へ…油断大敵!季節の変わり目に潜む熱中症の脅威と予防のポイントを解説
暦が変わっても厳しく残る残暑。気象庁によると、全国的に暖かい空気に覆われやすく、9月・10月も平均より気温が高く厳しい暑さがつづく見込みです。
近年、残暑が長期化する中、秋も熱中症への注意が必要です。今回は、高齢者が熱中症にならないようにする対策法についてご紹介します。
目次
消防庁は、2025年5月1日から8月3日の間に全国で熱中症により救急搬送された方は62,633人と発表しました。前年同時期(58,805人)に比べると3,828人増加したことになります。
年齢層別の割合を見てみると、高齢者が全体の約6割となっており、発生場所は、住居が約4割と最も多くなっています。
消防庁|全国の熱中症による救急搬送状況 令和7年7月28日~8月3日(速報値)を元に作成
高齢者が熱中症になりやすいのは、加齢による体の変化が大きく影響しています。体内の水分が少なく、少し汗をかくだけでも脱水状態になりやすい傾向があります。
①体内の水分が不足しがち
高齢者の体内水分量は、若年者より少ない上、 老廃物を排出する際にたくさんの尿を必要とするために脱水になりやすい
②暑さに対し感覚機能が低下している
加齢により、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなっている
③暑さに対し体の調整機能が低下している
体に熱がたまりやすく、暑いときの循環器系への負担が大きくなるため、体温調節機能が低下している
これとは別に、エアコンを使いこなせないことによるリスクもあります。東京都監察医務院・東京大学大学院医学系研究科が行った研究によると、熱中症による室内死亡例には、「エアコンを付けていない」状態のほか、「故障して使えなかった」「暖房設定になっていた」などエアコンを適切に使いこなせていなかったために亡くなってしまうケースが多いことが分かりました。
下記は実際にあった事例です。高齢者の方だけに限らず、ご自身やご家族の方も正しくエアコンを使用できているか、今一度確認してみましょう。
・リモコンの電池が切れていて使えなかった
・リモコンの温度設定は28度になっていたが「暖房」設定になっていた
・エアコンはついていたが、機能しておらず温風が出ていた
・エアコンはついていたが、送風モードや掃除モードのままだった
・エアコンはついていたが、送風口にホコリが詰まっており風が出ていなかった
・2階のエアコンはつけていたが、1階はつけていなかった
・エアコンをつけていたが、電気毛布を使っていた
一人暮らしをされている高齢者の方はご自身で対策をすることが難しい場合もあり、ご家族や介護職員とも連携して日常の中で習慣化することが重要です。
以下に熱中症対策をまとめましたので、ぜひ実践してみてください。
・通気性の良い服装を着用したり、襟元を緩めたりと体温がこもらない工夫をする
・エアコンや扇風機を使用して室内に熱気を溜めない
・本人が嫌がる場合はエアコンを弱め、除湿などに設定する
・すだれ、遮光・遮熱カーテンを使用する
・時間を決めて水分補給。こまめな水分摂取も忘れずに
・温度計や湿度計を設置して室内環境を見える化する
・味噌汁や梅干しなどで塩分を補給する
利用者だけでなく、スタッフ自身も熱中症のリスクがあります。訪問や送迎時にマスクを着用して勤務していることがほとんどだと思いますが、発汗で、体温が上がりやすくなります。こまめに水分を摂り、塩分補給することが必要です。
一方、訪問時は室温・湿度・換気状況を確認し、利用者の環境を整備することが大切です。秋からも「自分と利用者、両方を守る」視点で、現場全体の安全を確保してくださいね。
―引用元・参照WEBサイト
東京都|熱中症で死なせないために エアコンを使いこなせない人を取り残さないように
東京都多摩立川保健所|高齢者見守り訪問時の効果的な熱中症対策について
暦の上では秋を迎えましたが、今年も残暑が長期化する見込みで、利用者だけでなく現場の皆さまにとっても大きな負担です。一人ひとりの暮らしを守るため、細やかな声かけや環境調整が大切になります。
ケアマネが中心となり、秋口も安心して過ごせるサポートをぜひ続けてください。
監修
公開日:2025年9月26日