まごころ介護のお役立ちコラム

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不動産の名義変更ってどうやるの?

相続による不動産の所有者、人の変更イメージ
家族が亡くなった際に避けて通れないのが、「相続」の手続きです。
とりわけ、不動産(土地や建物)の名義の変更は複雑な作業を伴うため、事前の基礎知識が重要になります。
「売買」「贈与」「相続」などにより、名義変更に必要な書類も費用も違ってきます。
今回は相続による名義変更の内容についてお伝えします。

不動産(土地や建物)の名義の変更(不動産登記)とは

相続による不動産(土地や建物)の名義変更、すなわち相続登記は、相続が発生したことを公的な記録として登記簿に残すための手続きです。
これにより、亡くなった方の不動産が誰のものになったのかが正式に記録されます。

相続登記の義務化

2023年現在は不動産(土地や建物)の名義の変更についての法的な義務化はされていませんが、2024年には相続登記が義務化されることが決定しており、違反すると10万円以下の過料が課せられる可能性があるため注意が必要です。

また、まだ義務化されていないからと言って、手続きをしないとデメリットになる場合もあります。

相続登記を放置した場合のデメリット

①相続持分売却のリスク
相続登記がされていなければ、共有関係が複雑化するケースがあります。
例えば、被相続人は父、相続人は母と長男と長女とした場合に、長男が単独で、母4分の2、長男4分の1、長女4分の1の割合(法定相続分)の共有名義に相続登記できてしまいます。
このとき、長男が自分の持分を何も知らない第三者に勝手に売却して長男の共有持分の移転登記をしてしまうことも可能で、その場合他の相続人は赤の他人と不動産を共有で持つことになります。

②相続分の差押えのリスク
相続人の中に借金を抱えている場合に考えられます。
先ほどの例と同じように、被相続人の父、相続人の母と長男と長女とした場合に、長男が借金を抱えていてその返済が滞っているとします。
債権者は、長男から財産を差し押さえて、債権の返済の原資に充てる必要があります。その場合、債権者が代位登記を行い、相続人の代わりに母4分の2、長男4分の1、次男4分の1の割合の共有名義に相続登記することが可能です。その後、長男の持分4分の1を差し押さえます。
たとえ他の相続人が不動産を取得する内容で、遺産分割協議を行っていても、長男の持分に関しては、負債を代わりに返済するなどしなければ完全な所有権を取得できなくなります。

相続不動産の名義変更は放置するとデメリットばかりですので、早めに対応しましょう。
手続きは自分でもできますが、手間がかかりますので難しい場合は専門家に相談するといいでしょう。

相続登記の手続き

不動産(土地や建物)の名義の変更手続きは、法務局にて登記申請を行います。

申請方法

申請方法は以下の3つです。

  • 窓口

  • 郵送

  • オンライン

必要書類一覧

不動産(土地や建物)の名義の変更をする際、まず必要となるのは遺言書がある場合は遺言書、遺言書がなく相続人が複数いる場合は相続人全員の合意を証する遺産分割協議書です。その他にも、故人さまの戸籍謄本や相続人の印鑑証明書など、複数の公的書類を用意する必要があります。

遺産相続に伴う名義の変更の書類 ※遺産分割協議(遺言なし)の場合
①相続不動産の登記事項証明書 ②被相続人の住民票の除票
③被相続人の出生から死亡するまでの戸籍謄本 ④相続人全員の現在の戸籍謄本
⑤遺産分割協議書 ⑥相続人全員の印鑑証明書
⑦物件を取得する相続人の住民票 ⑧対象物件の固定資産評価証明書

※遺言書がある場合、一部書類が不要になることがあります。
詳しくは「法務局ホームページ」よりご確認ください。

必要費用

不動産の名義の変更の際にかかる費用は、登記の種類や不動産の価格によって変動しますが、登録免許税や司法書士への報酬など、いくらかの出費を見込んでおく必要があります。
予想外の出費を避けるためにも、早めに必要な費用を確認し、準備しておくことが大切です。

登録免許税
登録免許税 = 不動産の評価額 × 0.4%
(例)自宅の評価額1,000万円の場合=納付金額4万円となります。

戸籍など必要書類の取得費用
公的書類にかかる費用

司法書士に依頼する場合は報酬
不動産の数や評価額により変動します。

まとめ

細かい事は多いですが、大切なのは一歩ずつ進めること。
書類集めや費用の準備も焦らず、しっかりと対応していきましょう。煩雑な手続きでも、きちんとした相続は家族の未来につながります。
不明点があれば、専門家に助けを求めるのも一つの手です。大切な財産を守るためにも、この機会にしっかりと基礎知識を身につけてくださいね。

監修

川原田慶太司法書士

川原田慶太 司法書士

1976年生、京大法卒。東京・大阪を中心に、シニア向けに成年後見や家族信託、遺言などの法務を軸とした財産管理業務専門チームを結成。現在、延べ1000名の方々との財産管理顧問として業務を展開。
日本経済新聞電子版にて「司法書士が見た相続トラブル百科」を長期連載他、TV(情報ライブ「ミヤネ屋」、グッドモーニングなど)出演。金融機関を中心に相続セミナー講師を多数歴任し、著書に『司法書士は見た実録相続トラブル』(日経出版)がある。

司法書士法人ゆずりは後見センター(https://yuzuriha-kouken.jp/)

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

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