まごころ介護のお役立ちコラム

MAGOCORO COLUMN

老後の買い物や通院の移動手段とは?出かける喜びを持ち続けよう!


超高齢社会のいま、公共交通機関が十分にない地域にお住いの方や、身体的な不自由を抱えている方などの移動手段の確保が大きな課題となっています。高齢者が安全に外出でき、年齢を重ねても「出かける喜び」を持つことはとても大切です。今回は、高齢者の移動手段についてご紹介します。

高齢者の移動手段活用例

老後の移動手段として、大きく3つの方法をご紹介します。

  • 車を利用(自ら運転)

  • 公共交通機関を利用(自ら移動)

  • 介護保険サービスを利用

車の利用(自ら運転)

車を必要とする方にとって、運転は生活の一部です。仕事で使う必要がある方も多いでしょう。その一方で高齢になると運転パフォーマンスは落ちます。
高齢者による交通死亡事故が全国各地で多発したこともあり、老後は運転免許を自主返納して、マイカーを手放す方も増えてきました。
最近では、高齢運転者の事故防止対策の一環として、国が推奨する安全運転サポート車「サポカー」なども普及しています。「サポカー」に搭載されている先進安全技術の種類をご紹介します。

安全運転サポート車とは

高齢者の事故防止対策の一環として衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置などの安全運転機能を装着した車の普及、啓発がなされます。

「衝突被害軽減ブレーキ」3つの種類とメリット・デメリット

カメラ方式 ミリ波レーダー方式 赤外線レーダー方式
メリット 歩行者を見分けられる 天候に左右されず、検知できる距離も長い 低コストで衝突被害回避・軽減自動ブレーキを実現
デメリット 逆光や視界不良に弱い 歩行者を見分けることが難しい 追従機能(ACC)が難しい

注)検知技術にはいずれも作動速度や検知対象に限界があります。

安全運転サポート車の定義

平成29年に官民連携による啓発活動により定義

セーフティ・サポートカー(サポカー)

自動ブレーキを搭載

セーフティ・サポートカーS(サポカーS)

自動ブレーキに加え、ペダル踏み間違い時加速抑制装置等を搭載

特に高齢運転者にはこのマークの対象車が推奨されています。

→サポカーSは自動ブレーキの機能に応じて、以下の3つの区分があります。

ワイド

自動ブレーキ(対歩行者)
ペダル踏み間違い時加速抑制装置(※1)
車線逸脱警報(※2)
先進ライト(※3)

ベーシック+

自動ブレーキ(対車両)
ペダル踏み間違い時加速抑制装置(※1)

ベーシック

低速自動ブレーキ(対車両)(※4)
ペダル踏み間違い時加速抑制装置(※1)

※1 マニュアル車は除く。
※2 車線維持支援装置でも可。
※3 自動切替型前照灯、自動防眩型前照灯又は配光可変型前照灯をいう。
※4 作動速度域が時速30㎞以下のもの。

交通公共機関を利用(自ら移動)

バス券/乗合タクシー

高齢者の移動手段として、バスやタクシーなどの公共交通機関は重要な役割を担っています。ここでは、高齢者が利用しやすいサービスを導入している地方自治体「公共交通機関利用促進施策」についてご紹介します。

地方自治体の助成例(電車・バス・タクシーなど)

  • 大阪府堺市(おでかけ応援制度)

    満65歳以上の堺市民の方が「おでかけ応援カード」を使うことで、市内の路線バス(南海バス、南海ウイングバス金岡、近鉄バス)や阪堺電車を1乗車100円(年間240日まで)でご利用できます。

  • 佐賀県鳥栖市(高齢者福祉乗車券)

    高齢者や運転免許を自主返納した方に対して、路線バス(市内のバス停で乗車又は下車するもの)で利用可能な乗車券を割安(5,000円分の乗車券を1,500円)で販売。
    【対象者】
    鳥栖市内の75歳以上の方又は70歳以上74歳以下で運転免許証を自主返納した方

地方自治体と民間の連携助成例(乗合タクシー)

  • 山口県山口市

    ・山口市内の交通不便地域での高齢者等の交通弱者の移動手段を確保するため、地区中心区や基幹交通(鉄道・路線バス)までを運行する定時定路線型の乗合タクシーを導入。
    ・地区ごと(7地区)に地域が主体となって、ニーズや需要に基づいた運行計画を作成することで、効率的で機動性の高い持続可能な移動手段を実現。

  • 大阪府河内長野市

    ・急な坂道が多く、道が細くバスが通れない地域(楠ヶ丘地区)において高齢者等の足として定時定路線型の乗合タクシーを導入(同地区と生活に不可欠な買い物・通院等の施設が集中する駅前との間を巡回)
    ・事業者、地域住民、市が一体となり、ルート、停留所位置等の選定を共同で実施。

自治体により、サービス内容が異なるため、お住いの自治体にご確認ください。

家族のサポート

身体が不自由でご自身で乗り降りができない方のために、家族が福祉車両を保有することも増えてきています。最近では、多人数が乗れるワゴンタイプだけでなく、コンパクトカーや軽自動車もあります。一般車両と比較すると、さまざまな装備が追加された福祉車両は少々高額です。そこで、福祉車両の購入や運転に際し、国や自治体が行っている助成制度をご紹介します。

国や自治体による助成制度

福祉車両は購入・使用にあたって、車両の構造要件、お身体の状態により、様々な助成制度を受ける事ができます。
助成制度の内容は、都道府県、各市町村によって異なりますので、詳細は各担当窓口にお問い合わせください。

税金の優遇制度

  • 消費税の非課税

    厚生労働省が指定する身体障がい者用物品の規定に該当する装置を備えた自動車を取得する場合、非課税になります。

  • エコカー減税

    一定の環境性能を満たしている車両は、適用期間中に新車新規登録等を行った場合に限り1回限り特例措置が適用となります。

  • 自動車税の減免

    ①お身体が不自由な方が取得・利用する車
    ②お身体が不自由な方が乗車可能な車

貸付・助成

  • 自動車購入資金の貸付・助成

  • 自動車燃料費の一部助成

  • 自動車福祉車両への改造費の助成

  • その他制度

    ・有料道路の通行料金割引
    ・駐車禁止規制の適用除外
    ・カーフェリー料金の割引
    ・有料駐車料金の割引

介護保険サービスを利用

身体能力の低下等の理由により、免許の自主返納や、自身で車を手放す高齢者はこれから増加することが予想されます。要支援・要介護状態になっても、買い物や病院に出かけることができるよう、住んでいる地域の介護保険サービスを利用しましょう。

自治体により介護保険サービスの内容は異なるため詳細はお住いの自治体にご確認ください。

  • 大阪府松原市

    タクシー利用に使える助成券を交付。(申請月から1カ月当たり2枚を交付)
    ①福祉タクシー1乗車につき 500 円(要支援2以上)
    ②福祉リスト付きタクシー1乗車につき 1,400 円(要介護 4、5 の方が対象)
    【対象者】
    在宅生活している65歳以上の方で介護保険制度における要支援 2 以上の認定を受けている方

  • 愛媛県愛南町

    バス停からの距離に応じて500円~1,500円のタクシー料金の一部を助成(年間50回まで)
    【対象者】
    満70歳以上又は満65歳以上の身体障害者等で、乗合バスとコミュニティバスの停留所(フリー乗降できる区間はその路線)から300m以上家が離れている方

利用する際にはまず、介護認定を受けてケアマネジャー等から利用計画を作成してもらう必要があります。

その他の方法

免許を返納してマイカーを手放しても、電動アシスト自転車やシニアカーに乗るをいう方法があります。
電動アシスト自転車はモーターによるアシスト機能が搭載された自転車のことです。通常の二輪タイプ以外にも転倒しない三輪タイプも発売されていますので運転が心配な方も乗ることができます。
また、シニアカーは車いすなどと同じく「歩行を補助するための器具」として扱われます。免許不要で乗ることができ、歩行者扱いとなりますので歩道を走行します。

また、最近では、ネットスーパーや弁当の宅配サービスが充実してきました。事前にインターネットで注文した商品が自宅に届くため外出の心配をしなくてよくなります。ただし、生鮮食品の品揃えが不十分であったり配送料がかかり負担になる可能性もあります。注文の期限が決まっているものもありますので利用する際は注意しましょう。

さいごに

今回は、老後の移動手段についてご紹介しました。
今まで車を運転していた方は、自分は大丈夫とお考えかもしれませんが踏み間違いなどによる事故も多数ニュースになっています。
運転免許証の返納や安全装置もひとつの選択肢としてお考えいただければと思います。
また家族のサポートを借りて楽しくお出かけできるとより良いですね。歩行に心配がある場合、その補助となる器具を購入することも検討されるとよいでしょう。
それぞれの環境に適した方法で、日常生活が快適に過ごせる方法を見つけましょう。

監修

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

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