まごころ介護のお役立ちコラム

MAGOCORO COLUMN

遠距離介護を始める前の準備!重要なポイントをご紹介します。

交友関係
遠く離れて暮らす親に介護が必要になったらどうしたらいいの?と不安になっていませんか?
万が一、介護が必要になってもさまざまな理由で近くでサポートできない場合もあるでしょう。
離れて暮らす高齢の親が自立した生活を送れるように、子どもがサポートする「遠距離介護」を始めるにあたっての準備ポイントを紹介します。

遠距離介護を選ぶ理由

たとえ親のことを大切に思っていても、遠距離介護を選択せざるを得ない場合があります。在宅介護ができない場合は、無理をせず専門家の力を借りましょう。

なぜ遠距離介護をするの?

・親は住み慣れた土地のほうが過ごしやすい
親の年齢を考えると住み慣れた土地を離れるには勇気が必要です。これまで築いてきた人間関係や、かかりつけの病院などが変わり、見知らぬ土地へ生活の拠点を移すことは不安でしょう。
また、高齢者のなかには環境の変化にうまく適応できずに、住む場所が変わると認知症を発症したり、症状が悪化する場合もあります。新しい環境への移住は、高齢の親にとって精神的・肉体的な負担が大きくなります。

・介護者側にも社会的な立場がある
親が70代の場合、その子供は50代ごろではないでしょうか。両親が介護を必要とする頃には、管理職などの社会的に重要なポジションを担っていることも考えられます。また、配偶者や子供がいれば、そう簡単には生活の拠点を変えられないでしょう。遠方の地元に帰省して介護に専念するのは難しい場合もあります。

遠距離介護を始める前の準備

遠く離れた場所に暮らす親がいると、急に倒れたと連絡をもらっても慌ててしまうことでしょう。
親が万が一の時に慌てることなくスムーズに対応できるように予め準備しておくと安心です。
自分ひとりだけで準備するのではなく、親と一緒に相談しながら行うことでより万全な準備となります。

まずはコミュニケーション

まずは帰省の回数を増やしたり、電話をするなどコミュニケーションを密にとるようにしましょう。
最近では、ZOOMやLINEなど顔を見ながら通話できるツールも増えましたのでうまく活用するとよいでしょう。

特に遠距離の場合は直接会う回数が少ない分、よりコミュニケーションを密にとることが大切になってきます。親の気持ちや健康状態を把握することで、いざ介護が始まる際に備えることができます。
ここで注意したいのが親のプライドを気づつけたり不安をあおらないことです。
親子関係によっては、子供に迷惑をかけたくないという思いから無理に聞いても答えてくれない場合もあります。いきなり質問攻めにするのではなく、会話の回数を増やすことから始めましょう。

親の日常生活や交友関係の把握

親の日々のタイムスケジュールや週間月間予定に関する情報を把握していれば、「どの時間帯に連絡をとればよいのか」がわかります。日常生活が不自由なこと、困っていることなどもわかるようになります。

また、近所との付き合いや友人、親戚づきあいまど、親の交友関係を把握しておきましょう。親にとっては普段から付き合いがあり、互いに助け合ってきた方々は信頼できるでしょう。そうした関係はいざという時に頼りにできる心強い味方となります。
近所の方々と信頼関係を築いた上で、ときどき様子を見てもらうなど何かあったときに対応してくれるよう頼んでおくとよいかもしれません。緊急連絡先を交換しておけばさらに安心ですね。

さらに持病などがある場合は、一度通院に付き添って挨拶と家族の連絡先を伝えておきましょう。
そうすることで、家族の同意が必要な治療や検査の際に、スムーズに連絡が取れ、体調の急変などにも対応できるようになるでしょう。

親の預貯金や金融商品の把握

親の預貯金や生命保険類などの経済状況を確認できると、介護の方向性を決めることができます。介護が本格的に必要になれば、介護保険サービスの利用や施設への入居など、一定の費用が掛かることになります。また、悪徳商法などの予防のためにも印鑑や権利証など貴重品類を確認しておくことも重要です。介護は金銭トラブルにつながる要素が多々あるので資産についてはしっかり確認しておきましょう。

本人の介護の希望をヒアリング

いざ介護が必要になった場合、介護を受ける本人の意思決定が必要な場面が出てきます。親の希望とは異なる介護サービスや介護施設を選ぶことがないように、「どんな介護を受けたいのか」「どこで生活をしていきたいのか」というような老後生活の希望をきちんと共有しておきましょう。
また、記録として残しておくと後で見返した際に安心です。

介護施設等の把握

「遠距離介護」は、親がある程度自立した生活を送れることが前提です。そのため、認知症や身体的な事情から要介護状態であり、一人での生活が難しい場合には、介護施設の利用を考えなければなりません。施設には、様々な利用条件があるため、親にどのような疾患や障害があり、今後どうなる可能性があるのかわかっていると、入れる可能性のある施設を想定することができます。また、入所に係る月々の費用や一時金を知っておくとお金の準備もできます。一度、どのくらいの費用感なのか調べておくとよいでしょう。 介護が必要な段階ではない場合も、相談を受け付けている窓口「地域包括支援センター」があります。不安な方は一度、訪れてみるのもよいでしょう。

周囲の人やかかりつけ医との連携

遠距離介護を続けていくには、周囲からの支援や協力が欠かせません。高齢のひとり暮らしは、孤独感を抱えやすいため、近隣の方や友人に様子を見にいってもらうように声をかけておくと安心です。かかりつけの医師とも小まめに連絡をとり、必要なときはすぐに対応してもらえるように連携しておきましょう。また、民生委員が住民の相談に乗ったり、生活支援を行ったりと幅広く活動している地域も多いので、行政に相談してみるのもよいでしょう。

<相談内容の例>

・介護認定について
・介護保険サービスの種類や利用方法
・自治体が独自で行っているサービス
・ボランティアが無償または有償で行っているサービス
・民間企業のサービスの情報
・遠距離介護になることでの心配なこと
・どこに相談をしていいのかわからない不安なことや困っていること

ICT機器や緊急通報システムの設置

最近では、照明や家電などの使用状況によって家族に通知される仕組みが搭載された、見守りができるICT機器があります。これらを活用することもできるでしょう。

また、自治体によっては緊急通報システムを設置してくれる地域もあります。自宅で具合が悪くなったり動けなくなった際に、緊急通報ボタンを押すことで民間の警備会社に通報され駆けつけてくれます。
このほかにも、キッチンに熱を感知すると通報してくれる火災センサーを設置してくれる地域もあります。

料金は無料のものから有料のものまでありますので、各自治体の窓口へ問い合わせてみましょう。

住宅リフォーム

要介護認定を受けている場合、高齢者一人あたり20万円までの助成金が支給されます。住宅リフォームを希望する場合は、担当ケアマネジャーに相談し、早めにバリアフリー化を検討することができます。生活の質を守るためにも、ある程度健康なうちにリフォームしておくことをおすすめします。

遠距離介護のデメリット

費用がかかる

遠距離介護には、介護保険が適用される住宅改修費や介護サービス利用費、福祉用具レンタルのほかに、通信費や帰省費用がかかります。
移動には、時間を短く済ませることのできる飛行機や新幹線を使いたいという人もいるでしょう。
そんな時は、各交通会社の「介護割引」サービスを活用しましょう。条件によっては大幅に割引になります。詳しくは交通各社のホームページを確認しましょう。

■飛行機の場合(例)
・ANA「介護割引」
https://www.ana.co.jp/ja/jp/book-plan/fare/domestic/guide/detail/kt.html
・JAL「介護帰省割引」
https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/fare/rule/r_kaigo.html
・ソラシドエア「介護特別割引」
https://www.solaseedair.jp/fare/price/nursing.html
・スターフライヤー「介護割引運賃」
https://www.starflyer.jp/fare/fare_list/nursing.html

また、格安航空や早割などもうまく活用しましょう。

■鉄道の場合(例)
介護割引サービスはありませんが、会員登録することで受けられるサービスがあります。
・JR東日本「えきねっと」トクだ値
http://www.eki-net.com/top/tokudane/
・JR東海「プラスEX」EX早得21
https://expy.jp/product/ex_hayatoku_21/
・JR西日本「J-WESTネット」スーパー早得
https://www.jr-odekake.net/goyoyaku/campaign/s-hayatoku/
・JR九州「ネット予約」ネット限定きっぷ
https://www.jrkyushu.co.jp/railway/ticket/limit/
・大人の休日倶楽部 
https://www.jreast.co.jp/otona/guide/ticket.html
・おとなび 
https://www.jr-odekake.net/cjw/otonavi/

早急に対応できない

親と同居していないため、毎日様子を見られるわけではありません。容体が急変したり、事故があった際に早急に対応ができないでしょう。
本人とこまめに連絡を取ったり、緊急時には対応してもらえるようにケアマネジャーや近隣住民の方と相談しておくことが重要です。
または、老人ホームへの入居を検討することも必要でしょう。入居費用はかかりますが、介護のプロにお世話を任せることができますので安心することができるでしょう。

高齢者向けサービスも年々種類が増えており、これらを活用して負担を軽減することもできるでしょう。
安否を確認してくれる「見守りサービス」やIoTを活用したサービスもあります。
また、自宅に食事を届けてくれる「配食サービス」や「家事代行サービス」もありますので一度、適したものを調べてみるといいでしょう。

遠距離介護のメリット

親と離れて暮らす遠距離介護では、不安を感じている方もいるかもしれません。しかし、遠距離介護にはメリットも存在します。

転居しなくてよい

遠距離介護の場合は、今住んでいる地域を離れなくても良いため、介護のために仕事を辞める「介護離職」を避けることができます。年齢的にも再就職が困難な年代の方にとっては介護のために退職するのは大きなリスクです。遠距離介護を選択することで今までの生活を守りつつ親の介護ができます。

介護保険のサービスを利用しやすい

親の認知症等の事情から、介護施設を利用することもあるでしょう。その場合、遠距離介護では入所の優先順位が高くなる傾向があります。入所待機者がいっぱいの地域もありますので、少しでも早めに入所できることは大きなメリットとなります。

介護ストレスが軽減される

遠距離介護であれば、被介護者と一緒に生活をしているわけではないため、介護負担が偏りにくい側面があります。常時介護にかかわる場合と比べ、ストレスが大幅に軽減される傾向があります。介護者の身近に相談できる人がいれば、精神的な負担も軽くなるでしょう。

遠距離介護が始まったらすべきこと

介護が始まったら、最初にするべきことが3つあります。

介護保険サービスを利用するために「要介護認定」の申請を行う

まず最初に、介護保険サービスを利用するために「要介護認定」の申請を行いましょう。要介護認定を受けない限り、介護保険サービスを利用することができません。
地域包括支援センターに連絡を取りましょう。事前準備として、面談を済ませておいた場合はその旨を伝えるとスムーズでしょう。

担当のケアマネジャーを決める

要介護認定を受けたら、介護保険サービスをプランニングしてくれるケアマネジャーの決めましょう。ケアマネジャーとは長い付き合いになりますので、適切な方を選びましょう。

ケアマネジャーを決める際には、

・連絡が取りやすい
・ひとりで無理をしないように心遣いしてくれる

など、遠距離介護に理解の深い人を選ぶようにしましょう。
ケアマネジャーとの相性が合わず、逆に悩みが増えてしまっては本末転倒です。

ケアプランを作成してもらう

ケアマネジャーが決まったら、どんな介護保険サービスを利用するか計画を作成してもらいます。

なるべく、自立した生活を継続できるように、必要なサービスと不必要なサービスをケアマネジャーが把握できるように詳細に伝えましょう。

・家族と離れて暮らしている
・どれくらいの頻度で帰省できるか
・親の状況
・親の友好関係
など。

ケアプランが完成したら、介護保険サービスの利用を開始しましょう。

認知症での遠距離介護について

認知症での遠距離介護は、介護者が常に近くにいない状況であると健康面や認知症の症状の進行に気づけない場合があります。
また、症状の一つである物忘れから火の不始末や戸締りの心配もあります。症状が進行すると徘徊や行方不明の懸念もあるでしょう。

さらに、近年急増している詐欺などのトラブルに巻き込まれるケースも見受けられます。認知症の親を介護する場合は上記のような危険性にも気を付けましょう。

遠距離介護でのトラブルを防ぐポイント

遠距離介護では、人間関係や金銭関係にトラブルが起こる可能性があります。仕事をしている場合は、職場で利用できる制度について確認しておきましょう。

介護の役割分担を決めておく

兄弟姉妹がいる場合は、誰が介護をするかでトラブルになりやすいです。親の介護をどのように分担するかあらかじめ相談しておきましょう。お互いの生活や経済状況を踏まえ、各自ができること・できないことを確認します。例えば、平日に都合がつかない人は週末の介護を担当するという方法もあります。介護に携わることが難しい場合は、資金援助を行うこともできるでしょう。

この時、ケアマネジャーや介護サービスの事業者とやり取りを行うメインの担当者を決めておくと安心です。一人に負担が集中しないようにメイン担当者以外も各自が役割を担い、協力することが大切です。

また、一人っ子の場合でもひとりで抱え込まず、協力者を見つけましょう。
例えば、要介護者の配偶者や近隣に住む親族や介護者の家族です。もし仮に、母親の介護を父親に見てもらう場合は、定期的に連絡を取り合い二人とも倒れているというようなことにならないように注意しましょう。
また、近隣の親族や介護者の家族に協力を仰ぐ場合は、介護をスタートする前に必ず話し合いを行い納得してもらう必要があります。親族や配偶者が介護することは法律上、義務ではありませんので不要なトラブルにならないよう話し合い、感謝の気持ちを言葉や態度で示すことも忘れずに。

費用に関して事前に話し合う

介護費用の負担に関してはあらかじめ話し合っておくとよいでしょう。親の介護はある日突然始まる場合があります。親が元気なうちに、あらかじめ介護費用は親の資産をなるべく使いたいと伝えておくことで金銭的なトラブルを防ぎやすくなります。

職場の制度を確認する

「介護休暇」や「介護休業」は、要介護の家族を介護するために休みを取得できる制度です。介護休暇の場合、対象家族1人が際は年間5日、2人以上の場合は年10日の休みを取得できます。介護休業の場合は、対象家族1人の際、通算で93日と長期の休みを取得できます。これは「育児・介護休業法」で両同社の権利として認められています。

遠距離介護で利用したいサービス

不安が大きくなりがちな遠距離介護では、積極的に見守りサービスや費用負担を減らせるサービスを活用しましょう。
最近では、高齢者向けのサービスが多種多様となり、増加しています。なかには遠距離介護支援を専門としたサービスを行っているところもあります。

自治体のサービスを利用する

自治体による安否確認サービスや配食サービス、ゴミ出しサービスなどさまざまなものがあります。地域によってサービス内容が異なりますので、高齢者向け冊子を取り寄せてみるとよいでしょう。または自治体の公式サイトから確認や直接連絡を取りましょう。

地域のボランティアのサービスを利用する

家事代行や見守りサービスなど、無料または有償ボランティアが行うサービスです。ケアマネジャーを始め地域包括支援センターやボランティアセンターを運営する社会福祉協議会に問い合わせてみましょう。

民間サービスを利用する

お弁当を自宅へ届けてくれる配食サービスや、離れて暮らす家族が安否を確認できる見守りサービスから家事支援全般まで、民間が行う高齢者向けサービスには多くの業種や企業が参入しています。
こんなサービスはないだろうか?と思ったら、インターネットで探してみるとよいでしょう。

遠距離介護の場合、安否確認カメラの利用もひとつのアイデアです。離れていてもいつでもスマートホンなどで親の状況が確認できますので、親のほうも安心を感じるのではないでしょうか。
しかし、可能な限り自立した生活を継続するためには、親が自分でできることはなるべく手を出さずに自分で行ってもらうことも大切です。それでも不安な部分や困っていることがある場合は、専門サービスを活用しましょう。

施設への入居を検討する

遠距離介護を続けていくうちに、親の要介護度があがったり、生活状況の変化によって継続が困難になる場合もあるでしょう。その場合は、施設への入居も視野に入れましょう。

費用はかかってしまいますが、日常生活を送るうえで必要な介護をプロに任せることができるため安心です。費用が安く人気のある施設は入居待ちの場合もあるので、少しでも施設への入居の可能性を考えた場合は早めにケアマネジャーに相談することをおすすめします。

まとめ

今回の記事では遠距離介護についてご紹介しました。
親にはいつまでも元気でいてほしいですが、なかなかそうはいかないもの。
日頃から連絡するなどして、もし介護をすることになったらどうしたいのか、親子でコミュニケーションをとっておきましょう。
近くで面倒を見てあげたくてもそうはできないのが現実です。
親が万が一になった時でも慌てることなく、スムーズに対応できるように準備しておくことで、すこしでも不安を減らすことができます。親にすれば、離れていても気にかけてくれる子どもの存在がどれほどの安心感を与えていることでしょう。介護は想定していても予想通りにはいかないことのほうが多いと言われます。親が元気のうちに介護の準備を始めてみてはいかがでしょうか。

監修

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

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