まごころ介護のお役立ちコラム

MAGOCORO COLUMN

健康長寿を目指して ―「フレイル」の早期発見で介護予防―

介護予防する健康な高齢者イメージ
最近、やせてきた、疲れやすくなった、外出がおっくうに感じる、歩くのが遅いなど、日常生活で思い当たることはありませんか?これらは、年齢を重ねると誰もが経験することではないでしょうか。段々と体の力が弱くなり、外出する機会が減り、病気にならないまでも支援や介護が必要となることがあります。このように心と体の働きが弱くなってきた状態をフレイル(虚弱)と呼びます。フレイルは早期発見により、今後の対策が取りやすくなります。そこで今回は誰もがすぐにできる「フレイルチェック」をご紹介します。

フレイルとは

加齢や疾患によって、身体的・精神的に様々な機能が徐々に衰え、健康を保つための配慮が今まで以上に必要な状態のことです。
歳を重ねれば、誰もが心身の衰えを感じることが多くなります。それを放っておくと、知らぬ間に健康状態が失われ、要介護の状態に進んでしまいます。
そこで、現在のフレイルの状態をチェックし、早期に予防しておくことが重要です。
早速、東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)の飯島勝矢教授ら 研究チームが考案した「フレイルチェック」をやってみましょう!

フレイルチェック「指輪っかテスト」と「イレブンチェック」

指輪っかテスト

指輪っかテストは、サルコペニア(※)の危険度を測るため実技テストです。

※サルコペニアとは 全身の筋肉量と筋力がガクッと落ちる状態のことです。
サルコペニアは、両手足の筋肉量、握力、歩行速度の3つの指標で判断します。
筋肉の衰えは、栄養不足、転倒・骨折、認知症になるリスクを高め、要介護状態へとつながっていきます。

介護にならないための指輪っかテスト1つめの情報
介護にならないための指輪っかテスト2つめの情報
画像引用元:東京大学 高齢者総合研究機構 飯島研究室

千葉県柏市在住の約2,000人の高齢者を対象に行われた大規模高齢者フレイル予防研究(通称・柏スタディ)の調査情報によると、「隙間ができる」と答えた人のグループは、「囲めない」と答えたグループの人より、サルコペニアにかかっている率が6.6倍も多かったそうです。
また、その後の4年間の追跡調査によって、「隙間ができる」グループがサルコペニアを新規発症する率は、「囲めない」グループより3.4倍も多かったというのです。

このテストで「隙間ができる」結果になった人は、毎日の食事や運動量、生活スタイルなどに気をつけ、「ちょうど囲める」、「囲めない」状態を目指すことで「フレイル」は防げるのです。

「指輪っかテスト」は、自分の筋力の衰えにいち早く気づくことができる有効なテストなのです。

イレブンチェック

イレブンチェックは、「栄養」、「口腔」、「運動」、「社会性・こころ」という4つの面で自分のフレイル度をさらに詳しく見るためチェック一覧です。

介護にならないためのイレブンチェック

「栄養」青の欄の丸が...
2つ:食習慣への意識はしっかりとお持ちのようです
0~1:食習慣への意識が足りていない可能性があります

「口腔・運動・社会性・こころ」で青の欄の丸が...
6~9:筋肉量をしっかり維持できている可能性が高いです
0~5:筋肉が弱まっていたり、健康に心配なところがあったりする可能性があります。

Q4、Q8、Q11は「はい」と「いいえ」が逆になっていますので注意してください

それぞれの質問に「はい」と「いいえ」で答えるのですが、結果が囲われている青の欄の丸が多ければ多いほど心身状態は良いが、赤の欄の丸の数が6つ以上になるとフレイルのリスクはぐっと高まり、丸が1つ増えるごとにリスクが2倍増えていくことが飯島先生らの研究によってわかっています。

フレイルチェックはいかがでしたか?
介護保険制度の中で要支援と判定された高齢者はフレイルに相当すると考えられています。
しかし、適切に支援を受けることで健常な状態に戻ることができる時期ともされています。

フレイルを予防するには?

健常な段階からフレイルを予防するには、生活習慣病の(進行)予防をしながら、運動機能・認知機能の低下を防ぎ、社会的に関わりを保ち続けることが大切です。
栄養(食・口腔機能)・運動・社会参加の3つの柱は、お互いに影響し合っています。
どれか1つだけをすればいいというものではありません。
以下の3つの柱をうまくリンクさせて自分の生活サイクルに組み入れていくことが大切です。

  • しっかり噛んで、しっかり食べること

  • 運動をすること

  • 社会参加をすること

まとめ

介護予防の観点では、高齢者ご本人や、身近にいるご家族がフレイルという状態を知り、介護状態へと移行しやすい危険性をはらんでいることや、どのような状態がフレイルにあたるのかを知っておくこと、フレイルを進行させないための日常的な配慮を行っておくことはとても大切です。

まずはフレイルチェックを受けて、今の体力と筋力を確認し、介護予防を意識した生活をおくりましょう。

監修

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

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