まごころ介護のお役立ちコラム

MAGOCORO COLUMN

預貯金の払い戻し制度の創設について

預貯金
現代の相続事情の背景から、遺された家族が困らないように、2019年1月から段階的に相続法が改正されています。今回は相続人による「預貯金の払い戻し制度」について紹介します。

預貯金の払い戻し制度の創設

以前までは、被相続人の預貯金の払い戻しをする際には家庭裁判所に遺産分割調停または審判を申し立て、預貯金債権に関する仮分割の仮処分の手続きが必要でした。
相続法が改正され、預貯金が遺産分割の対象となる場合において、相続人は遺産分割協議を始める前でも家庭裁判所の手続きを経ることなく一定の範囲で預貯金の払い戻しを受けることができるようになりました。
(所定書類などがあるため詳しくは金融機関にお問い合わせください)

事例をみていきましょう

被相続人

母 (父はすでに他界)

相続人

長女、次女

相続法改正前

遺産分割が終了するまでの間は、相続人単独で預貯金債権の払い戻しができませんでした。

生活費や、相続費用の支払い、相続債務の弁済など、資金需要がある場合でも被相続人の預金の払い戻しはできませんでした。葬儀費用などの支払いも困ることがありました。

相続法改正後

遺産分割における公平性を図りながら、相続人の資金需要に対応できるように、相続預金のうち一定額については、相続人単独で取引銀行窓口で払い戻しを受けられるようになりました。

単独で払い戻しができる額

相続開始時の預貯金債権の額(口座基準)× 1/3 × 払い戻しを行う共同相続人の法定相続分

(例)
A銀行の口座に預貯金600 万円があるとすると
600万円 × 1/3 × 1/2 = 100万円

※ただし、1 つの金融機関から払い戻しが受けられるのは150 万円までとなります。

さいごに

今回は預貯金の払い戻し制度についてご紹介しました。
近年の相続人の資金需要に対応できるように創設された制度です。遺された家族がお金で困らないように、相続の基礎知識を知っておくのも大切です。しかし、相続法は段階的に改正されていますので、分からない事があれば専門家に早めに相談することをオススメします。

監修

川原田慶太司法書士

川原田慶太 司法書士

1976年生、京大法卒。東京・大阪を中心に、シニア向けに成年後見や家族信託、遺言などの法務を軸とした財産管理業務専門チームを結成。現在、延べ1000名の方々との財産管理顧問として業務を展開。
日本経済新聞電子版にて「司法書士が見た相続トラブル百科」を長期連載他、TV(情報ライブ「ミヤネ屋」、グッドモーニングなど)出演。金融機関を中心に相続セミナー講師を多数歴任し、著書に『司法書士は見た実録相続トラブル』(日経出版)がある。

司法書士法人おおさか法務事務所(http://olao.jp)

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

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