まごころ介護のお役立ちコラム

MAGOCORO COLUMN

介護離職せずに済む選択とは

退職届
自宅でご両親の介護をしながら仕事をされている方は全国で約300万人といわれています。一方、在宅介護をしながら仕事を続けることに疲れ、「介護離職」を選択される方は年間約10万人。政府も「介護離職ゼロ」の取り組みを行っていますが、難しい現状もあるようです。しかし、仕事と介護は両立できます。そこで今回は末期がんの母親の突然介護で退職しようかと迷われている方の事例を見ながら、離職せずに済む選択についてご紹介します。

事例 Aさん/独身/40代の場合

普段のAさんの状況

・70代後半の両親と同居
・両親に何かあったときは、自分が面倒をみると思っている
・両親が元気なうちは甘えてばかり
・仕事のキャリアも重ね、新規プロジェクトのリーダーとして奮闘している

突然の介護の状況

・身体の不調を訴えた母の末期がんが突然判明
・急な入院から在宅ケアまでたったの3カ月
・当初は父がひとりで介護を担う
・父が高齢のため、在宅介護からしばらくしてAさんが主介護者に

介護をしているAさんの心境

「私が仕事を辞めるしかないかも…」

このAさんの事例から
・辞めることないのでは?
・介護休業や有休で対応できないの?
・病院に入院させてもらったらどうでしょう?

と、第三者的立場からは冷静な判断が思いつくでしょう。しかし短期間に状況が一変するような事態になった当事者たちは、ベストではない答えしか思い浮かばず、「介護離職」を選んでしまうことが多いのです。

そこで、ひとつ皆さんに覚えておいてほしいことがあります。
「ひとりで決断する前に誰かに相談する」ことです。状況を伝え、今できる最善の方法を模索するのです。

アドバイスを受けたAさんの決断

結局、Aさんは、会社の上司、人事へ相談し、介護休業(最大3カ月)を取得。自宅で母の最期を見送ることにしました。その後、母は1カ月で他界し、介護休業40日で、新規プロジェクトのリーダーとして復帰しました。

あの時、誰にも相談せずに介護離職を選択していたら、Aさんは好きな仕事に戻ることもできず、再就職先を探すことに苦労していたかもしれません。また、企業も適切なアドバイスができるようにしておくことで、貴重な人材を失うリスクを減らすことができるのです。

さいごに

今回は「介護離職せずに済む選択」をご紹介しました。
在宅介護をしながら仕事を続けるには、時には辛く厳しいときもあると思います。家族内だけで悩まず早めにケアマネジャーなどの第三者のアドバイスを受けることが大切です。

監修

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

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