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「生活保護」包括センター長が制度概要、受給額まで解説

 

「生活保護」包括センター長が制度概要、受給額まで解説

生活保護とは

国民の生存権を保障している日本国憲法第25条に基づいて健康で文化的な最低限度の生活を保障するために、経済的に困窮する人に対して国が給付を行う制度です。
生活に困窮する方は、誰でも申請することができます。

生活保護の基本的な原理、原則については生活保護法に乗っております。具体的にどんな支援を受けられるのかを見ていきます。

1.生活扶助

衣食住の中の衣食。光熱水費などの基本的な生活費に対する扶助の事です。

2.住宅扶助

住居の費用を金銭給付します。
例えば賃貸住宅の家賃が給付されたり、転居をする場合、敷金や礼金などが支給されます。
必要に応じて引っ越しにかかる費用も支給されます。

基本この2つ紹介した生活扶助と住宅扶助が生活保護費の大きな柱になります。

3.医療扶助

病気や怪我などの治療費に必要な医療給付の事です。
生活保護法に基づく指定医療機関に医療サービス提供、委託する形で医療サービスが現物給付という形で支給されます。
医療費については、全額この医療扶助で賄われます。
つまり、生活保護の受給中は原則として医療費の自己負担はありません。
例外として年金や手当などの収入がある場合は、一部負担が生じる場合もあります。

生活保護受給していない人は、基本的には医療保険証を持って医療機関にかかります。
生活保護を受給するとまず、国民健康保険の資格を失うことになります。
つまり、医療保険証は交付されませんので必要に応じて各地域の福祉事務所に病院行きたいの旨の申請を行って発行された医療券、調剤券を持って、受診することが基本となります。

どこの医療機関でもいいというわけではなく、生活保護法に基づく医療機関や調剤薬局に行って診察や調剤の医療のサービスを現物給付で受けるということです。

4.介護扶助

要介護者である場合、介護保険給付の自己負担分が給付されます。
発行される介護券を使って介護サービスを受ける形で現物給付が行われます。

つまり、介護保険サービスの自己負担分の1割を介護扶助という形で受けることになりますので、介護保険サービスを受ける際に自己負担分は発生しないということです。
ただ、あくまでも介護扶助なので施設で提供される食事代などは介護保険外の実費の部分ですので、自己負担分が発生しますのでご注意ください。
食事代など自己負担部分は、先程ご紹介しました生活扶助として支給されている中から工面されます。

5.教育扶助

生活保護の受給世帯児童に対して義務教育期間の教育にかかる費用を金銭で給付します。

6.出産扶助

出産に必要な費用が金銭で給付されます。

7.葬祭扶助

生活保護を受給していた人が死亡した場合に葬祭や埋葬にかかる費用が葬祭を行う人に金銭給付されます。

8.生業扶助

保護を必要とされている人が自立を目的で働くために必要な費用を金銭給付されます。
以上8種類の扶助を必要に応じて組み合わせて支給されます。

医療扶助、介護扶助は医療や介護などのサービスが直接支給される現物給付の形で支給され、残り6種類の扶助は、原則現金が支給される金銭給付という形で支給されます。

以上、具体的にどんな支援で受けられるかを見ていきました。

生活保護制度の対象者の可否判定、支給金額の算出方法について

まず、どんな人が生活保護を受給できるのか冒頭では生活に困窮する人と表現しましたが、何を以って困窮すると判断するのかその根拠となる基準をについて説明していきます。
世帯の収入が最低生活費より少ない場合、最低生活費に対する不足分が支給されます。
ポイントは世帯で見るということです。

最低生活費

世帯の構成人数、居住地などの条件を考慮して、個々の世帯で必要な金額を算出したものです。
つまり、対象者は

世帯の収入が最低生活費の基準を下回る人

となります。
最低生活費より収入が多い場合は、生活保護の受給の対象ではないと判定され、生活保護は適用されません。

例えば、持ち家などの資産はあるけれど年金が少なくてすぐ使えるお金がなくて生活に困っている方も今は沢山いらっしゃいます。そういった方も持ち家があるから無理だって諦めるのではなく、地域の福祉事務所に相談してどのように生活を組み立てていくのかを一緒に考えてもらうことをお勧めします。

実際にそこから道が開けるケースも沢山ありますので、ぜひ困っている人は福祉事務所や各地域にある地域包括支援センターに相談してみてください!

支給金額の算出方法について

生活保護基準は、保護を必要とする人の年齢や世帯構成、居住地などの条件を考慮し、厚生労働省が定めております。
生活保護ネット
→居住地と年齢、世帯の人数、その他簡単な要件を選択すると、世帯の生活保護の基準額が出てくるようになっています。
https://seikatsu-hogo.net/

例えば、45歳の男性が東京都のとある市に一人暮らしで収入がまったくなくなり、住むところがなくなったと仮定します。
先程ご紹介した生活扶助が約7万6000円+住宅扶助が約5万4000円。二つを合わせて約13万円くらいが支給される計算になります。
もしも、この男性が北海道のとある市に住んでいたと仮定すると生活扶助は約6万8000円+住宅扶助が約2万5000円と住宅扶助の基準がぐんと下がるので北海道で45歳一人暮らしの場合はトータルで約9万3000円が支給されるといった計算になります。

例えば、75歳以上の一人暮らし東京のとある市に在住の場合は、住宅扶助は年齢によって変化しませんが、生活扶助は75歳以上になると少し基準が下がりますので、トータルの支給額は、約12万3000円といった具合になります。

世帯が2人3人となると生活にかかる費用の割合も変わってきますので、基準額の割合も変わってきます。
このように居住地と年齢、世帯構成によって計算されます。

申請方法、申請から受給までの流れ

生活保護の申請は、住んでいる市区町村の福祉事務所の生活保護担当窓口にて行います。
生活保護を申請できるのは、保護を必要とする人本人と、その扶養義務者、その他同居親族に限ります。
申請を行うと審査が行われます。

審査

審査はケースワーカーが生活保護の要否を判断するための調査を行います。
生活の貧困度、資産の活用度合い、働く能力などを調べる目的で、世帯全員の預貯金口座高の調査、自宅訪問が行われます。

保護の要否の判定

原則として申請から中14日以内に福祉事務所が保護の要否を決定した結果を書面の送付にて通知がされ受給が始まります。

以上、生活保護制度の仕組みについて、保護の可否判定、支給金額の算出方法申請から受給までの流れについて、説明していきました。

監修

福井寛之(ふくい ひろゆき)

社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。

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