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【介護保険制度改正】福祉用具選択制でケアマネ負担増!

 

 

超!わかる 介護施設シリーズ

【介護保険制度改正】福祉用具選択制でケアマネ負担増!

 

 今回は、2024年度介護保険制度改正で、介護保険給付の対象となる福祉用具の一部について貸与・購入の選択ができる制度を導入する事案についてお伝えします。

「購入」の選択が介護費抑制に繋がる?

 厚生労働省は「第8回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」で、福祉用具を貸与で使うか、あるいは販売で使うかを利用者が自ら選べる選択性の導入を提案しました。

選択制の対象となる福祉用具は比較的安価といわれる固定用スロープ歩行器、ロフストランド・クラッチなどの単点杖松葉杖多点杖などの品目です。

提言の唯一の救いは、レンタル手すりが議論から除外されていたことです。

販売できる仕組み化で増大する介護費抑制の狙い

 改正の目的は、販売を加えることによって「増大する介護費を抑制したい」という国の思惑が見え隠れします。

貸与が長期間になったらその分、当然ながら介護費用が発生します。

しかし、購入したほうが介護費を抑えられるのではないかと考えるのは極めて安直です。その理由は2点あります。

1.介護費の抑制に繋がるのか

高齢者の身体変化は日々起こっています。購入したものの使いづらいと感じた場合、高齢者の方々は簡単に買い換えるでしょうか。

高齢者は物を大切にしますから、まだ使えるという心理が働くと思います。すると、かえって自立を妨げたり、転倒して入院してしまったりしたら、入院費も上がって介護費は増えるのではないでしょうか。

高齢者がご自身でできることを増やしていくなど長い目で考えたとき、選択制が介護費の抑制に繋がるか甚だ疑問です。

2.介護保険の自立支援はどこへ

介護保険給付となる福祉用具は、貸与を原則として福祉用具専門員の配置を義務づけてきました。

高齢者の自立支援を捉えていく介護保険の基本的な考え方を、横に置いてしまうようなら、介護保険制度の目指すところがブレブレになりケアマネージャーなど介護従事者は混乱すると思います。

実際、「介護保険によって購入か貸与か選べる場合の意向」調査では、8割以上が「福祉用具貸与での利用で良い」と回答しています。(表)

また、「現状のままでよい」と回答した理由について、7割が「商品の変更が可能だから」と答えています。

つづいて「使わなくなった時の処分に困るから」「定期的に商品の確認をしてもらえるから」の意見も5割以上あります。

果たして選択制の導入は必要なのでしょうか。

ケアマネジャーの負担が増えるのは確実!

 「貸与後のモニタリングのあり方」について検討会では、貸与を継続するかどうか「サービス担当者会議」で判断するために、6カ月ごとに1回以上のモニタリングを行い、使用方法や使用頻度などを記録し、利用者とケアマネジャーに交付する仕組みが提示されました。

また、選択制によらない通常の貸与でも、利用している福祉用具の適応状況を確認するため、モニタリング時に使用方法や使用頻度、使用上の課題などを記録する案が示されました。

判断材料については、6カ月ごとに主治医、かかりつけ医などに医学的所見を伺い、その他類似の利用状況に関するデータを用いて、「サービス担当会議」を開催するとしています。

この手間暇がケアマネ業務をどれだけ圧迫するか分かっているのでしょうか。実際に選択制の提起に対して、委員からは反対意見や業務負担増への懸念が相次いでいます。

議論が決着していくのか、今後の動向に注目していきます。

さいごに

 ケアマネ負担を増大させるプロセスだけは、本当に省いていただきたいと切に願っています。

「まごころ介護のお役立ち動画コラム」では、介護に関するさまざまな情報を分かりやすく発信しています。ぜひ動画もご視聴ください。(※専門家により解釈が異なる場合があります)

監修

福井寛之(ふくい ひろゆき)

社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。

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