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【深刻】訪問介護とケアマネの高齢化問題に迫る!未来の介護をどう守る?

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【深刻】訪問介護とケアマネの高齢化問題に迫る!未来の介護をどう守る?

はじめに:福祉職の高齢化~現状と課題~

今回は、介護業界で働く皆さんの間で深刻化している、介護職員の高齢化について深く掘り下げていきます。
特に、平均年齢が高いとされる訪問介護のホームヘルパーケアマネジャーに焦点を当て、実際の調査データをもとに現状を把握し、この問題にどう向き合うべきか、具体的な打開策はあるのか、そして今私たちに何ができるのかを一緒に考えていきましょう。この記事が、皆さんの現場での人材確保のヒントになれば幸いです。

皆さんはご自身の仕事の平均年齢について考えたことはありますか?改めてデータを見ると、驚くべき結果が明らかになっています。

私たちは、皆さんが忙しい生活の中でも、学びたいときに効率よく学べるように、介護福祉に関わるお役立ち情報や仕事に役立つコミュニケーション術など、厳選された情報をお届けしています。業界歴23年、1万件以上の相談に携わってきた経験を交えながら、ご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

介護労働実態調査から見る高齢化の現状

2023年8月22日に介護労働安定センターから報告された昨年度の介護労働実態調査の結果には、衝撃的な数字が並んでいます。

最も平均年齢が高かったのは、やはり訪問介護のホームヘルパーで、その平均年齢はなんと54.4歳でした。さらに驚くべきは、60歳以上の方が37.6%、つまり約4割近くを占めている点です。そのうち12.2%は70歳以上の方々です。私たちの世代、40代の方々はまだまだ若手と位置付けられます。現場で30代、40代のヘルパーさんに出会うと、「どうか辞めないでください!」と心の中で願ってしまうほどです。

「もうあと1年で引退ね」「若い子がなかなか入ってこないのよ!若い人を紹介してよ」といった声が、現場では日常的に聞かれるようになりました。これは、訪問介護事業所が直面している人材確保の厳しさを物語っています。

悩むヘルパーの女性

次に、ケアマネジャーの平均年齢についても見ていきましょう。ヘルパーに次いで平均年齢が高かったのはケアマネジャーで、その平均年齢は52.7歳でした。さらに深刻なのは、4人に1人が60歳以上という事実です。前回調査と比較すると、平均年齢は約1歳上昇し、60歳以上のケアマネジャーの割合は約3.2%増加しています。このデータは、ケアマネジャー業界でも高齢化が急速に進んでいることを明確に示しています。

もちろん、60歳以上のケアマネジャーの中には、長年の経験と知識を活かし、利用者さんやその家族から絶大な信頼を得ているベテランの方々がたくさんいらっしゃいます。彼らの存在は、介護現場にとってかけがえのない財産です。しかし、同時に、この高齢化の波は、将来的な人材確保という大きな課題を突きつけているのです。

高齢化問題への具体的な打開策:外国人材の活用

このような状況を打開するための具体的な策として、近年注目されているのが外国人材の活用です。全国介護事業者連盟が行った調査結果によると、技能実習や特定技能の枠組みで働く外国人材が訪問系サービスを提供することについて、約80%以上の事業者が前向きな意見を示しています。

具体的には、約30%の事業者が「問題ない」と回答し、約50%の事業者が「経験のある職員と同行するといった一定の条件を満たせば訪問も可能」と回答しました。つまり、合計で約8割の事業者が、外国人材による訪問系サービス提供に抵抗感を示さないという結果が出ています。

これは、時代とともに介護業界の考え方が変化していることを示しています。以前は「日本人でなければ難しい」という意見も少なくありませんでしたが、現在は「日本人だからといって全てを任せられるわけではないし、外国人材でも任せられる人はいる」という現実的な見方が広がっています。利用者さんやその家族の信頼を得るために、同行訪問を重ねるなど、個人の能力や状況に合わせた柔軟な対応が可能であれば、外国人材の活躍の場はさらに広がるでしょう。

現在のルールでは、技能実習生などの外国人材が訪問系サービスに従事することは認められていませんが、将来的に外国人材の採用は、ヘルパー事業所、さらには福祉施設全体の生き残りのための重要なヒントになると考えられます。

ただし、ケアマネジャーにおける外国人材の採用については、まだハードルが高いのが現状です。これは、ケアマネジャーの業務が、日本の介護保険制度や地域特性、利用者さんの複雑な状況を深く理解する必要があるためと考えられます。

ケアマネジャーの処遇改善と業務軽減

ケアマネジャーの平均年齢が高いことへの根本的な打開策は、やはり若い世代がケアマネジャーとして働きたいと思えるような環境を整備することに尽きます。そのために喫緊の課題となるのが、処遇改善業務軽減です。

介護職全体の処遇改善が議論される中で、ケアマネジャーが「置いてけぼり感」を感じているという声は少なくありません。
「このままだったら介護職のままでいいかな。ケアマネになっても、正直お給料が上がるわけでもないし…」という率直な意見も聞かれます。ケアマネジャーの専門性と責任に見合った報酬体系の見直しは、若い人材がこの職種を目指すための重要な誘因となります。

書類の山
また、ケアマネジャーの過剰な業務量も大きな問題です。特に、以下のような無駄な業務の見直しが求められます。

更新研修の撤廃または簡略化

複雑で時間と費用がかかる更新研修は、若い人材の参入意欲を削ぐ要因となっています。研修内容の抜本的な見直しや、オンライン化、単位取得方法の多様化など、より柔軟な制度設計が必要です。

無駄な書類のやり取りや調整業務の削減

ケアマネジャーは、ケアプラン作成以外にも、多岐にわたる書類作成や関係機関との調整業務に追われています。これにより、本来の業務である利用者支援に割ける時間が圧迫されています。

この業務軽減の取り組みとして、厚生労働省が本格的に動き出しているのが、ケアプランデータ連携システムの構築です。このシステムが導入されれば、ケアマネジャーと介護保険事業所間の書類のやり取りや調整業務が大幅に削減されることが期待されます。

まとめ:高齢化する介護業界の未来を切り拓くために

今回は、訪問介護員とケアマネジャーの高齢化という喫緊の課題について、具体的なデータをもとに現状を分析し、その打開策として外国人材の活用ケアマネジャーの処遇改善業務軽減の必要性についてお話ししました。

介護業界の高齢化は、決して避けられない現実です。しかし、だからといって悲観する必要はありません。外国人材の積極的な活用、高齢介護人材の経験を活かす仕組み、そしてケアマネジャーの働き方改革など、様々なアプローチでこの課題に立ち向かうことができます。

そして何より、私たち一人ひとりが、この業界の未来をより良くするために何ができるかを考え、行動していくことが重要です。情報共有や学びの場を通じて、互いに支え合い、共に成長していくこと。これこそが、未来の介護を支える大きな力となるでしょう。

 

\ 福祉の福ちゃんが講師を務める「介護・福祉セミナー」を開催しています /

監修

福井寛之(ふくい ひろゆき)

社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。

公開日:2025年6月30日 

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