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介護保険を学ぼうシリーズ③ 介護保険サービスを上手に使うコツ実践編

 

介護保険サービスを上手に使うコツ実践編
~地域包括支援センター長解説~

いいケアマネージャとどうやって出会うのか

まず上手に介護保険を使うコツとして一番重要なことは「いいケアマネージャーさんに出会うこと」です。

理由としては

例えば、デイサービスに通うと決めてどこのデイサービスを利用しようかと思った時に選択肢はたくさんあります。
リハビリに特化したところに行きたい、入浴を週2回は入りたいなどいろいろなご要望に対して、合っているデイサービスの情報を提供するのがケアマネージャーです。
この情報をあまり持っていない場合、デイサービスに行きたいとあれば、「空きがあればお願いしやすいのでここにしよう」みたいな安易な考えで提案をしてしまうケアマネージャーも中にはいらっしゃるからです。

本人のニーズに沿った在宅の生活を豊かにするためのサービスの選択は重要で、サービス選びは在宅生活を継続する上で大切な選択になります。
→サービス選びは最初の重要な選択

例えば、仕事帰りに疲れた身体を癒やそう、おいしいごはん屋さんを都会で探そうと思うとあちこちにお店があるため、ワクワクしながらおなかを満たしてくれる場所はどこなのか、いい選択をしてニーズを満たされた感じになって次の日の働く活力になるでしょう。
それは多くの選択肢があるからです。
逆に田舎町では、マクドナルドやすき家など、他にどこがあるのかお店探しに苦労します。選択肢が少ないです。
より多くの選択肢がある中で選択するのと情報が少ない中での選択では、その後の生活にも大きく影響してきます。

まず、最初に大切なことは、しっかりと最低限の情報を持っていて、かつその人にあったサービスを選択できる形にして提供してくれるケアマネージャーと出会うことです。
ケアマネージャーの事業所は、お住まいの地域で探すことになります。
事業所はたくさんあり、どこにどんなケアマネージャーがいるのかなどは、普通に生活していればわかりませんので地域包括センターに相談してみてください。

地域包括支援センター

さまざまな相談事が集まる市区町村から委託された公的機関です。
業務の中にケアマネ支援という業務があり、ケアマネージャーに集まってもらって各々抱えているケースの検討会を行ったり、ケアマネージャーからのケースに相談に乗ったり、ケアマネージャーと一緒にケースの対応にあたったりと、とにかく近所のケアマネージャーと共に動く機会も多いです。

つまり、どこにどんなケアマネージャーがいるのか把握しているのが、地域包括支援センターです。

相続を相談する夫婦

サービスを上手に使うコツ

市区町村からもらった事業所一覧から名前がいいからと選ぶのは、とても危険です。
やはり、人と人との関係ですので、相性があります。

例えば、ご利用者様が女性で排せつに問題が出てきているとします。
その相談を男性ケアマネージャーに相談できますか?
ご利用者様とケアマネージャーとの関係はとても大事なので、選びましょう!
また、もしも今契約しているケアマネージャーとあまり相談できない関係性が出てきてしまって毎月のモニタリング訪問が苦痛、でもプランを作ってもらっている関係上、文句も言いづらいといった方がもしもいましたら地域包括支援センターへ相談してみてください。

介護保険サービスをうまく使う第一歩はいいケアマネージャーと出会うことです。
これがとても重要になってくることを覚えておいてください。
ケアマネージャーのいい、悪いはあくまで人間同士なので相性というものがあるという話です。

実際地域包括支援センターの職員として、特別養護老人ホームやデイサービスでの介護経験の中で、自分の祖父母の看取り介護を行った私の家族としての経験を、実際に使ったサービスを紹介しながらサービスを選ぶポイントをお伝えします。
どんな制度でいくらくらい費用がかかるのか目安は第1回で紹介したので、今回は省きます。

第1回の記事はこちら→介護保険を学ぼうシリーズ①

住宅改修業者を選ぶ際のポイント

自宅の環境整備として住宅改修で玄関と階段に手すりを取り付けました。
廊下や居室にはレンタルの手すり、天井と地面で簡易的に固定できる手すりを設置しました。
実際におじいちゃんに動いてもらって自然と手の行く箇所を参考にしながら工事施工業者と手すり設置位置を検討して工事計画を立ててもらいました。
ここでポイントです。

住宅改修業者(介護保険)選ぶ際の注意点
・ルール上業者はどこでもOK(知り合いの工務店でもOK)
・見積り、図面を事前に提出すること
→面倒臭いと嫌がる業者もある

工事をするプロではありますが、お年寄りの生活導線の中で動きの負担を軽減するために、ここに手すりを付けるのがベストといった視点はなかなか持ち合わせていません。
そこを補助する役割を担うのがケアマネージャーになります。
的確に助言できるケアマネージャーは正直そんなに多くありません。このあたりは、ケアマネージャーの苦手分野になります。
要するに、慣れていない工事業者と苦手意識のあるケアマネージャーが組んだ場合の手すりの設置は危険です。

私もいくつもの現場を見てきて、「なんでこんなところに手すりを付けているのか」と思うことが多々ありました。あと工事業者は柱のあるところに付けたがるのです。
柱がある方が手すりを固定するのに都合がいいからです。
そんな業者の都合で付けた手すりは時としてお年寄りの利便性、お年寄りの都合に合わない箇所になってしまいます。

なので、一番いいのは本人の自宅での動きに合わせて理学療法士や作業療法士の助言をもらいながら手すりの設置について検討するという方法がありますが、では、「どこにそんな都合のいい理学療法士がいるのか」という話になります。現実的ではありません。

なので、福祉用具業者に工事をお願いするのが現実的で、おすすめです。

福祉用具業者はそのあたりしっかり勉強していて住環境コーディネーターの資格を持っている方も多いです。
何より福祉用具を扱うプロなので手すりを設置しなくても福祉用具のレンタルで代用できることも提案可能です。

なぜ福祉用具業者をおすすめするのかというと、手すりの設置は壁や柱に穴を開けます。
数年後お年寄りの歩行状態が悪化して車椅子を自宅で利用しなければならなくなった場合を想像してみてください。
歩けるときはとても重宝していた廊下に設置した手すりが、車椅子移動をする際には廊下の幅を狭める邪魔な障害物に変身してしまうからです。

それを解決する代替案は、レンタル手すりを設置することです。もちろん設置できる場所とそうでない場所があります。
これであれば数百円という介護保険のレンタル料金で転倒のリスクを回避でき、不要になればレンタルなので返すことができます。壁に穴も開きません。
この辺りを知らないで工事で手すりを付けてしまった場合、外したら壁に穴が開きます。この辺りを想定してコーディネートした方がいいですよね。

デイサービス、ショートステイ利用の際のポイント

次にデイサービスの検討です。

ケアマネジャー

おばあちゃんは下半身麻痺がありました。
自宅での入浴はかなりの負担があったため、デイサービスでの入浴を検討しました。
おばあちゃんは、人とのコミュニケーションが苦手でした。
なので、滞在時間をなるべく短時間にして入浴という目的が果たせる場所をケアマネージャーに探してもらいました。
なおかつ小さい事業所だと部屋自体狭く、他のご利用者との関係が近く密になることをおばあちゃんは嫌うので、広いスペースで一人でゆったりとできる大規模なデイサービスを選んでもらいました。
そうすることで、おばあちゃんは嫌な思いをすることなく、入浴に通い続けることができ、自宅で入浴するという本人・家族に負担がかかる介護を取り除くことができました。

今のデイサービスは利用時間帯を1時間単位で選べます。
また、デイサービスによっては10人規模とこじんまりした場所もあれば、50人以上が集まる大きなデイサービスもあります。
場所の雰囲気、通っているご利用者の雰囲気もさまざまで、さらに曜日によって異なることもあります
例えば、意地悪な利用者のいる曜日もあります。
とにかく施設を見学することをおすすめします!
そして大事なポイントです。

見学する際は、通おうとしている曜日に見学して雰囲気を見ることをおすすめします!

利用日は曜日で固定されることが基本なので例えば、極端な話、月曜日に見学に行ったら雰囲気が良かったから利用を決めた。
しかし、たまたま火曜日にしか空きがなかったため火曜日に通ってみると雰囲気が違うといった場合もあります。

私の場合はおじいちゃん、おばあちゃんの娘が、介護の中心になっていたので介護負担軽減のためにショートステイを利用しました。

ショートケアはレスパイトケアと言い、まとまった期間施設に泊まって受けられるサービスなので家族がまとまった期間、介護から離れる時間が取れます。
この時間は、とても大事な時間です。
介護というのは、終わりが見えません。明日終わるかもしれませんし、10年続くかもしれません。
この終わりがないところが、介護精神的に大変なものにしている大きな要因となります。

数日間でも介護を休む時間がまとまって取れるということは、また介護を再開するときに向けたリフレッシュ期間になります。
ショートステイの取り組みとしてレクリエーション活動を行ってくれるところもあれば、特に行っていないところもあります。
部屋も個室できれいなところもあれば、施設自体が古くお世辞にもきれいと言えないところもあります。
ショートステイでも不安であれば見学してみたり、いくつか見てみるのもいいのかもしれません。

看取りの介護を行う際のポイント

そして私のおじいちゃん、おばあちゃんも最後は看取りをしました。
おばあちゃんを看取ったのは平成17年、おじいちゃんを看取ったのは平成27年でした。

おばあちゃんの時は、もう15年前、在宅医療が今のように一般的ではなかったため、町医者に頼んで週に1回来てもらっていました。
そして点滴が必要な時に医者にしてもらって看護師である孫が針を抜くといったこともありました。
一方で、おじいちゃんを看取ったのは3年前になり、その頃はもう在宅での看取りのケースが出てきて、自宅で孫と同じベッドで最期を迎えました。
そんなことをできたのも介護用ベッドを借りてポータブルトイレを購入して、看取りのための在宅医療も医者に頼んでなるべく苦しくないように延命はせずに、自然と自宅で死を迎えることができました。
呼吸が止まってから在宅療養の医者が速やかに訪問してくれて死亡診断書を書いてくれるので、亡くなった後、家族で穏やかな時間を過ごすことができました。

在宅診療の契約を結んでいないと自宅で亡くなった時には警察が来て検死を取ることになるため、亡くなった後とても慌ただしく過ごすことになります。
大切な家族の死に立ち会うということは大変なことです。
大切な家族が苦しそうにしている時、こんな時には家族がどんなことをしてあげれるのかなと、どうしても素人には医療的なアドバイスが欲しい場面がたくさん出てきます。

そんなときの心の支えとなるのが訪問診療の医者や訪問看護師などの医療のプロになります。
看取りの介護を行う場合は、医療のプロがケアのチームに入っていることがポイントとなってきます。

私みたいな介護のプロでも医療職のアドバイスは心の支えになりました。
また、いつでも連絡できる関係がとても重要だと思いました。
地域にどんな訪問ステーションがあるかなど、ケアマネージャーに相談してみましょう。

まとめ

まず、在宅で介護保険を上手に使うコツとしてケアマネージャー選びが重要になってきます。
福祉に携わったことのない一般の方は、良いケアマネージャーについて心当たりがある人はあまりいないと思います。
だからこそ地域包括支援センターに連絡して良いケアマネージャーの情報をもらってください。
そして介護保険サービスを使うときは、要望をしっかりと伝えて使えるサービスの提案をもらってください。そしてなるべく見学して自分や家族の目で見て利用を決めることが大切です。
そして今のケアマネージャーに相談できない関係性が出てきていて相談できる関係性が築けていない方がいたら我慢するのではなく、地域包括支援センターに相談してケアマネージャーの変更も視野に入れて検討してみてください。

監修

福井寛之(ふくい ひろゆき)

社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。

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