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【新人研修シリーズ】高齢者こそ最強の相談者!介護の現場で学ぶ人生の知恵

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【新人研修シリーズ】高齢者こそ最強の相談者!介護の現場で学ぶ人生の知恵

介護の仕事で大切な視点。高齢者の方々が持つ人生経験という最強の武器に焦点を当て、その深い知恵から私たちが学ぶべきことを解説します。

はじめに:介護の仕事で大切にしたい視点

介護の仕事をする上で、技術的なスキルはもちろん重要ですが、それ以上に大切なのは「考え方」です。
この研修シリーズでは、技術だけでなく、介護の仕事に対する根本的な考え方を学び、仕事の魅力を発見していくことを目指します。
今回のテーマは、私たちが日々関わる高齢者の方々が持つ、最強の武器とも言える力について深く掘り下げていきます。

公園で話す高齢者と介護スタッフの女性

本シリーズの目的:介護の魅力に気づく

この研修シリーズの目的は、介護の仕事が「つらい」「大変だ」というイメージで終わってしまう前に、その奥にある魅力に気づく人を増やすことです。以前「介護の魅力」そのものについてお話ししました。まだご覧になっていない方は、ぜひそちらもチェックしてみてください。

過去コラム:
【介護職の真実】私が伝えたい、この仕事の本当の魅力:高齢化社会の救世主

今回のテーマ:高齢者が持つ最強の武器とは?

今回は、私たちが普段ケアさせていただく高齢者の方々が持っている、最強の武器とは一体何なのか、という点に焦点を当てていきます。この武器をしっかりと理解することで、今後の研修で扱う認知症の方との接し方や一人介護のポイント、介護記録のコツ、権利擁護といった応用的なテーマも、より深く理解できるようになります。

歳を重ねることの価値観が変わる

この仕事をしていると、「歳は取りたくない」と感じる瞬間があるかもしれません。正直、私もそう思うことがあります。しかし、今回のシリーズを通して、高齢者の方々に対する見方が変わり、「歳を取るのも悪くないかも」と感じる機会になればと思っています。それが、明日からの仕事の楽しみ方に、ほんの少しの変化をもたらすかもしれません。

カリキュラム

    【基本編】

  • 介護の魅力ってなんだ?

  • 高齢者が持っている武器って何?

  • 【考え方、応用編】

  • 認知症対応のポイント

  • サービスマナー

  • 看取り介護

  • 介護記録

  • 権利擁護研修

今回は、基本編の2つ目、「高齢者が持っている武器って何?」について深掘りしていきます。

高齢者が持つ最強の武器:良き相談者

ずばり、高齢者が持つ最強の武器、それは『良き相談者である』ということです。時に厳しく、しかしその根底には深い愛情と温かさを持った、スペシャルなカウンセラーなのです。

なぜ高齢者は良き相談者であり得るのか?

私が23年間この仕事に携わってきた中で分析してきた結果、高齢者が良き相談者であり得る根拠は大きく2つあります。

  • 多くの人生経験がある

  • 物理的な時間が充分にあること

多くの人生経験がある:激動の時代を生き抜いてきた重み

言うまでもなく、高齢者の方々は、激動の日本を乗り越え、支えてこられた世代です。私たちが軽々しく語れるレベルではない、計り知れないほどの経験を積み重ねてこられています。その経験は、教科書には載っていない、生きた知恵の宝庫です。

日本の原風景

人生の酸いも甘いも知っている
成功体験だけでなく、失敗や挫折、喜びや悲しみなど、様々な経験を通して、物事の本質や人の気持ちを深く理解されています。だからこそ、表面的な言葉だけでなく、その奥にある真意を感じ取ることができるのです。

多様な価値観に触れてきた
高度成長期、バブル崩壊、IT革命、そして現代の多様な社会。高齢者の方々は、様々な時代の変化を肌で感じ、多様な価値観に触れてきました。そのため、一つの視点にとらわれず、多角的なアドバイスをすることができます。

物理的な時間が充分にあること:人生の優先順位を見つめ直す余裕

誤解を恐れずに言えば、多くの方が仕事を引退され、時間に余裕が生まれています。その余裕があるからこそ、人生の優先順位をじっくりと考えることができ、他者の悩みに時間をかけて耳を傾けることができるのです。

忙殺される現代社会との対比
私たち若者は、仕事や子育てに追われ、時間に追われる毎日を送っています。じっくりと誰かの話を聞いたり、親身になって相談に乗ったりする時間的な余裕がないのが現実です。しかし、高齢者の方々には、その時間があるのです。

時間が育む傾聴力
時間に余裕があるからこそ、相手の話を遮ることなく、じっくりと耳を傾けることができます。そして、その傾聴こそが、相手の心を癒し、解決の糸口を見つけるための第一歩となるのです。

一般的な高齢者のイメージとのギャップ

私たち若者が高齢者に対して抱いているイメージは、耳が遠い、関節が痛い、物忘れがひどい、気難しい、扱いにくいといったものかもしれません。そして、高齢者同士の会話は、社会や家族への愚痴ばかりだというイメージがあるかもしれません。

膝を押さえながら杖をつく高齢者男性

愚痴の裏に隠された想い

確かに、愚痴ばかりを言う高齢者の方もいらっしゃいます。しかし、そういった否定的な表現の裏には、「もっとこうなってほしい」という期待や、「理解してほしい」という切実な想いが隠されていることもあります。

意外と少ない否定的な会話

しかし、実際に高齢者同士の会話に耳を傾けてみると、意外にも否定的な会話は少ないことに気づかされます。多くの方が、誇らしげに自分の子供や孫のことを話したり、物が自由に手に入る時代を喜んでいたり、テクノロジーの進化に驚き、笑い合いながら語り合ったりしています。家族に何かを残したいという強い思いを互いに確かめ合っているようにも見えます。

私自身の経験:助けられたのはいつも高齢者だった

思い返すと、私がこれまで生きてきた人生の中で、誰かに助けてもらいたい時、誰かに悩みを聞いてもらいたいというタイミングで、手を差し伸べてくれたのは、いつも高齢者の方々でした。

「あなた何か悩んでない?」「私には何もしてあげられないけど、何かできることはない?」そんな温かい言葉をかけていただいた経験を何度もしてきました。人生経験の少ない若い世代の人よりも、高齢者の方のほうが、相手の気持ちを察する力や、手を差し伸べる優しさに長けていると感じます。

敏感に感じ取る力と行動力

相手が今、何を必要としているのかを敏感に感じ取ることができる力。これは、つらい思いをしている経験を重ねた人の力だと思います。そこに加えて、高齢者の方は、助けの手を差し伸べることに積極的です。つまり、敏感に感じ取る力を持っていて、且つ行動できるのが高齢者なのです。

時間があることの強み

私たち若者は、仕事や子育てに追われ、じっくりと話を聞く時間が物理的に足りていません。しかし、高齢者の方には、その時間があります。能力が備わっていて、時間もある。高齢者こそ、スペシャルなカウンセラーなのです。

高齢者からの無料カウンセリング

私自身、なかなか子宝に恵まれずに悩んでいた時期に、親身に話を聞いてくれて勇気づけてくれたのは、当時デイサービスに通っているおばあさんでした。七夕の短冊に「大好きな職員さんに赤ちゃんを連れてきてお願い」と、自分の願い事そっちのけで私のことを思って書いてくれていました。

遡ること約20年前、特別養護老人ホームで働いていた時には、今は亡き私の父親のことで私自身かなり悩んでいた時期があり、そんな時に夜勤の度に人生指南をしてくれていたのが、元カトリックのシスターで重度の認知症を抱えたおばあちゃんでした。見当識障害があり、目の前にいる人のことも、今いる場所のことも分からない状況でしたが、感情面はしっかりと残っていました。そのシスターは、私の悩みのど真ん中を捉え、「お父さんを許してあげて」と何度も言い、私を慰め励ましてくれました。そんなことを繰り返していくうちに、父親を恨んでいた自分が馬鹿らしくなり、「もう手放しちゃえ、許しちゃえ」という感覚になったことを今でも鮮明に覚えています。

本当につらい時、高齢者は助けてくれます。豊かな人生経験から、辛い思いをたくさんしてこられた高齢者の方々は、他人の悩みに真に寄り添い、ガッツリと包み込んでもらえるような感覚を与えてくれます。

まとめ:高齢者は最強の相談者

高齢者が持つ最強の武器、それは「良き相談者、カウンセラー」であるということです。歳を重ねてから得られるこの力は、いくつになっても社会の役に立てる存在であることを示しています。そんな高齢者と毎日のように関われる環境で働けることは、本当に価値のあることです。

高齢者の方々から様々なことを教えてもらい、たくさんの学びを得られるこの仕事に従事しながら、今は経験を積んでいき、歳を取った時に私も若い人に寄り添える、そんな温かいカウンセラーになっていきたいと思っています。

 

\ 福祉の福ちゃんが講師を務める「介護・福祉セミナー」を開催しています /

監修

福井 寛之

You Tuber 福祉の福ちゃん

福井 寛之(ふくい ひろゆき)

専門分野
社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)

公開日:2025年5月23日 

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