まごころ介護のお役立ち動画コラム
MAGOCORO MOVIE COLUMN
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【介護職・ケアマネのあなたへ】後悔と向き合い、今を大切にするヒント
大切な人との「今」を大切にするためのメッセージ。介護職の方々へ、後悔とどう向き合い、日々を心穏やかに過ごすヒントをお届けします。
目次
今回のコラムは、介護職やケアマネジャーの皆さんが仕事で関わる利用者さん、そしてご自身の家族との日々の関わり方を、改めて見つめ直すきっかけになればと思います。
少し重いテーマに感じるかもしれませんが、大切な人との「今」を深く考える時間は、私たちにとってかけがえのないものとなるでしょう。
介護職として働いている皆さんは、「また明日ね」と笑顔で別れた利用者さんと、翌朝会えなくなってしまったという経験をされたことがあるかもしれません。あるいは、忙しさから「明日やるね」と言ったことが、翌日にはもう叶えられない約束になってしまっていた、ということもあるかもしれません。
当たり前のことですが、誰にでも「最後の時」は訪れます。しかし、それがいつなのかは誰にも分かりません。あなたが先に旅立つのか、大切な人が先に旅立つのか、それもまた誰にも予測できないことです。だからこそ、「今」を大切にすることが、何よりも重要なのです。
今回は、「今」を大切にすることの尊さを教えてくれる、『最後だとわかっていたなら』という詩を紹介したいと思います。この詩を読む際は、ぜひあなたの心の中にいる、お子さん、恋人、奥さん、旦那さん、兄弟、親、友人など、大切な人を思い浮かべながら読んでみてください。
この詩の作者は、アメリカ人女性のノーマ・コーネット・マレックさんです。彼女は、亡くなったご自身のお子さんを偲んで、この詩を書き上げました。その深い愛情と後悔、そして「もし、あの時こうしていれば」という切ない思いが、読む者の心に強く響きます。
あなたが眠りにつくのを見るのが最後だとわかっていたら
わたしはもっとちゃんとカバーをかけて 神様にその魂を守ってくださるように祈っただろう
あなたがドアを出ていくのを見るのが最後だとわかっていたら
わたしはあなたを抱きしめてキスをして そしてまたもう一度呼び寄せて抱きしめただろう
あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが 最後だとわかっていたら
わたしはその一部始終をビデオにとって 毎日繰り返し見ただろう
あなたは言わなくても分かってくれていたかもしれないけど 最後だとわかっていたら
一言だけでもいい… 「あなたを愛している」とわたしは伝えただろう
たしかにいつも明日はやってくる
でも、もしそれがわたしの勘違いで今日で全てが終わるのだとしたら
わたしは今日どんなにあなたを愛しているか伝えたい
そしてわたしたちは忘れないようにしたい
若い人にも年老いた人にも 明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは 今日が最後になるかもしれないことを
「ごめんね」や「許してね」や「ありがとう」や「気にしないで」を伝える時を持とう
そうすればもし明日が来ないとしても あなたは今日後悔しないだろうから
この詩は、私たちに「今日」という時間の尊さを教えてくれます。私たちは往々にして、明日が来ることを当然のように思ってしまいます。しかし、明日が来ない可能性もゼロではありません。もしそうであったなら、私たちは今日、どれほどの後悔を抱くでしょうか。
「忙しいから」「また今度でいいか」という理由で、大切な人への感謝や愛情を伝えること、ささやかな願いを叶えることを後回しにしてしまうことがあります。しかし、それがもし「最後」になってしまったら?その後悔は、計り知れないほど大きなものになるでしょう。
だからこそ、今日、この瞬間を大切にすること。目の前にいる大切な人をしっかりと抱きしめ、心からの愛情と感謝を伝えること。「ごめんね」「許してね」「ありがとう」「気にしないで」といった、素直な気持ちを伝えること。これらが、もし明日が来なかったとしても、私たちが後悔しないための唯一の方法なのかもしれません。
私自身、大好きだった祖父母を自宅で看取った経験があります。その時は、祖父母の「最後」が近いことを分かっていました。看取りの覚悟はしていましたが、それでもやはり「もっとこうしてあげたかった」「もっと何かできたはずだ」という後悔が、私の心には残りました。
介護の現場に身を置く皆さんの中にも、似たような経験を持つ方がいらっしゃるのではないでしょうか。一生懸命に介護に尽くしてきたご家族の皆さんの中には、未だにその「後悔」が心に残り、苦しんでおられる方もいらっしゃいます。
私自身の経験からも言えることですが、大切な人を想い、愛情を込めて介護すればするほど、後悔は大きくなってしまうものだと感じています。それは、「もっとできたはず」という気持ちが、その愛情の深さゆえに生まれてくるからです。
しかし、そんな風に自分を責めてしまう時には、どうか自分を許してあげてください。「よくやったよ」「きちんと愛情を込めたじゃないか」と、自分自身に語りかけてあげてください。介護には、多かれ少なかれ後悔がつきものなのです。
どんなに最善を尽くしても、完璧な介護というのは難しいものです。人間の感情は複雑で、時間が限られている中で、すべての思いを形にすることはできません。だからこそ、「ある程度は仕方のないことだ」と割り切ることも大切です。
後悔は、決して悪いことばかりではありません。それは、私たちがどれだけその人を大切に思っていたか、どれだけ愛情を注いでいたかの証でもあります。忘れられないほどの思いを込めたからこそ、今でも心に残る後悔があるのです。
大切なのは、その後悔に囚われすぎず、「今」を大切に生きることです。過去を振り返り、「あの時こうしていれば」と嘆くのではなく、今できることを精一杯行うことに意識を向けましょう。
最後に、なかなか後悔が消えない、という方へのメッセージです。
大切な人は目の前にいなくても、たとえもうこの世にいなくても、その人の笑った顔を思い浮かべて「ありがとう」と心の中で伝えることで、心が繋がったような気持ちになることがあります。そして、そうすることで、不思議と心が軽くなり、スッキリと眠れるようになるものです。
私自身、亡くなった祖母と、そうやって心を通わせています。これは本当に効果があると感じているので、信じられないかもしれませんが、ぜひ一度試してみてください。
きっと、あなたの心にも変化が訪れるはずです。
\ 福祉の福ちゃんが講師を務める「介護・福祉セミナー」を開催しています /
監修
公開日:2025年7月30日