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【10分解説】超!わかる 成年後見制度

 

超!わかる 介護施設シリーズ

10分でわかる成年後見制度 地域包括支援センター長解説

【1】成年後見制度とは

【1】成年後見制度とは(判断能力が不十分な方に対して契約行為等を代理する制度)

 簡単にいうと、例えば認知症や知的障害や精神的な障害が理由で判断能力が不十分な方がいます。そんな方の財産を管理したり介護サービス福祉サービスを利用したりいざというとき悪徳商法などから身を守り、暮らしを守っていく、そんな制度が成年後見制度です。

 本日の構成として、任意後見制度と法定後見制度の概要からそれぞれの申し立てから利用の流れまでについてご説明します。また申し立てができる人がいない場合についての相談窓口について最後に紹介します。成年後見制度の相談窓口の一つでもある現役の地域包括支援センター長が現場レベルからお伝えします。

成年後見人はどんなことをする人?

① 金銭管理・契約手続きの代行
 皆さんは銀行に預けているお金を自由に出し入れができます。 ATMにキャッシュカードを入れて暗証番号を入力してお金を引き出すことができます。でも認知症などで暗証番号を忘れたり、通帳やキャッシュカードなどなくしてしまう方がいます。

 本当にたくさんいます。そんな方の金銭の管理だったり介護施設の入所の手続き契約だったりをその方に代わって行なってくれる制度であり、代わりに行なってくれる人のことを成年後見人と言います。

② 一部契約の解約
 またオレオレ詐欺って言葉聞いたことあると思いますが、例えば、認知症で一人暮らしの母親が悪質商法に騙されて詐欺の契約をしてしまった場合でも後見人が合意してない契約なので本人に代わって解約することができた。なんて事例もあります。

【2】任意後見制度と法定後見制度の違い

 「成年後見制度って認知症になってから動き出すのでしょう!関係ないわ!」と考えておられる方も少なくないのではないでしょうか?
今すぐ支援が必要な方だけでなく今は元気でも将来に不安がある方なども成年後見制度は様々なケースで活用することができる制度です。将来の不安に備えたい人は任意後見制度。  

 今すぐにでも支援が必要な人は法定後見制度そんな風に整理して覚えておきましょう。
任意後見制度は例えば

「将来認知症などで判断能力が低下したときのために備えておきたい。」

「親である自分が障害を持っている。」

「子供の面倒を見れなくなった時、大切はわが子の暮らしが心配。」

などです。

つまり判断能力が十分にある人が将来的な認知症などの不安に備えてあらかじめサポートをしてもらう代理人を任意後見人といいます。

任意後見人のサポートする制度とは

 大きく分けて財産管理と身上監護といった2つの支援があります。財産管理は本人の預貯金や管理不動産などの処分、遺産分割などの財産に関する契約について助言や支援を行います。二つ目の身上監護は介護サービス福祉サービスの利用とか医療福祉施設の入退所の手続きとか費用のお支払いとか日常生活に関わってくる契約などを支援します。

【3】任意後見制度利用までの流れ

第1段階 任意後見の依頼をして公正証書の作成

 本人と任意後見受託者、後見を依頼された人で、任意後見受託者が支援する範囲を話し合いで決めて公正証書を作成して正式に契約を交わします。任意後見人への報酬は本人と任意後見受託者と契約で決めた金額となります。

 つまりは自由です弁護士や専門家に頼むと、相場としてはもちろん流動資産がどれくらいあるかによっても変わってきますが月3~6万円、またそれ以上かかる場合もあります。ただ、任意後見人が親族の場合は無報酬にすることも可能です。あと公正証書作成の諸費用は約3~8万円くらいはかかります。契約の内容や作成する人によって値段は変わってきます。

第2段階 家庭裁判所への申し立て

 申し立てできる人は本人配偶者四親等以内の親族になります。「四親等って何?どこまでが四親等」ってありますよね。例えば従兄弟も四親等にあたります。

 家系図をイメージしてみてください。お父さん、お母さん、自分の子供は一つ離れているので一親等。おじいちゃん、おばあちゃん、孫は2つ離れているので二親等。ひいおじいちゃん、ひ孫は三親等という感じです。申立てに必要な書類等については家庭裁判所のホームページなどからダウンロードが可能です。

第3段階 任意後見監督人の選任(任意後見人や後見人の仕事を監視する人)

 任意後見監督人が選任されると支援が始まります。

 

【4】-1 法定後見制度について

 判断能力の程度に応じて判断能力の低い人から順に後見、補佐、補助の3つの累計に分けられます。本人や親族の申し立てによって家庭裁判所で選ばれた成年後見人が支援します。支援する人に与えられる権限は大きく分けて3つあります。代理権、同意見、取消権です。

①代理権 

 代理権というのは例えば後見類型の方であれば日常生活で判断能力がほとんどない方なので全ての法律行為に代理権が発生します。保佐人補助人の類型の方は本人と話し合った上で代理でやってもらう法律行為をあらかじめ相談しておいて、かつ家庭裁判所が認めた法律行為を代理権として得ることができます。

②合意権

 合意権というのは本人が法律行為を行う場合成年後見人の合意が必要であるという権限のことです。

③取消権

 取消権というのは成年後見人の合意がないまま本人が法律行為を行った場合にその法律行為を取り消せる権限です。これによって本人だけの合意で悪徳な詐欺等などを契約してしまうといったことを防ぐわけです。

 

法定後見制度の利用までの流れ

 家庭裁判所に申し立てるところは任意後見制度の申し立てと原理は同じです。

 加えて本人や家族などが申し立ての理由として本人の生活状況や精神状況などについて記載した申立書と医師の診断書本人の戸籍謄本などの書類を家庭裁判所に提出します。
 

 申し立てできる人は任意後見制度と同様、4親等内の親族などです家庭裁判所で成年後見人として適切だと思われる人が選任されると、支援が始まるといった流れになります

【4】-2 成年後見人にはどんな人が選ばれるか?

 配偶者や親族知人以外にも法律や福祉の専門家などが選任されます。また一定の研修を受けて家庭裁判所から選任された市民後見人が選任されることもあります。また、できる人がいない場合の相談窓口はというと市区町村の福祉担当、地域包括支援センター、社会福祉協議会。弁護士会。成年後見センターでサポートを受けられます。

 

以上、成年後見制度の概要でした。

 

監修

福井寛之(ふくい ひろゆき)

社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。

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